「国家人材の“タレントスカウトキャラバン”みたいな…」

西側を熟知した若きエリートが、西側の制裁にへの対応策を考えている。『国庫の破綻防止』策もまさにその一環だ。そして、何より注目すべきはソローキン氏ら若き才能を選抜するイベントがあることだ。

それは2017年、プーチン氏の発案で始まった。毎年20万人以上が応募し、100人に絞られる。最終的にはプーチン氏との直接対話もあり、部門ごとに勝者が決まり、政府幹部に採用される。ソローキン氏は第一回の選抜で勝者となり、現職の次官に抜擢された。旧ロシア地域の政治経済を研究する服部倫卓教授に聞いた。

北海道大学 服部倫卓教授
「言ってみれば国家人材の“タレントスカウトキャラバン”みたいな…。プーチン体制は長期化によってかなり硬直化し、社会に閉塞感がある。若者たちは能力があってもコネが無ければ政府や大手企業には入れなかった。このままでは政府の機能が低下するとプーチンの提案で始めた。ロシアというのはプーチンの権威主義的体制と、それとは対照的なリベラルな経済体制とが同居する“ハイブリット国家”と言える。体制に忠誠さえ尽くせば、かなり大きな権限を与えられて経済政策など任せてもらえる…」

プーチン氏の独裁体制であることには変わりないのだろうが、若い才能にチャンスを与えることで、“ガス抜き”効果もあるのだろう。

「プーチン氏は軍事・外交面と経済・エネルギー面で二面性」

番組で以前取材した“プーチンの頭脳”といわれた極右思想家ドゥーキン氏は、プーチンには、歴史観を持った“太陽のプーチン”と西側の合理性を持った“月のプーチン”がいると言った。
防衛研究所の兵頭氏もプーチン氏の二面性を語る。

防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「プーチン大統領のこれまでの経済エネルギー政策を見てると明らかに西側的な感覚、そこに基づく合理性みたいなものを求めていて、それでエリートたちを重用してきた。ただ今戦時下で、財政が悪化してきたのでこれまでの合理性が揺らいできている気が…。プーチン大統領というのはやっぱり二面性…。軍事・外交面と経済・エネルギー面で違った政策を取るというのを知っておく必要があると思う」

(BS-TBS 『報道1930』 3月28日放送より)