禁漁で“北のガラパゴス”は…医療サービスの職員雇えず警察官も減り
アラスカのズワイガニ減少の原因に「海洋熱波」があると専門家は分析します。

アメリカ海洋大気局 エリン・フェドゥワ研究員
「2019年から2021年にかけての調査で、100億匹のズワイガニがいなくなったことがわかりました。その前の2018年と2019年に起きた海洋熱波が影響していることをはっきり示しています」

5年前、ベーリング海で「海洋熱波」が発生。これが、冷たい海水域を好んで生息するズワイガニの稚ガニの激減につながった可能性が高いといいます。
また、ズワイガニ漁の最大拠点で、ベーリング海の中央に浮かぶセントポール島。多様な野生動物が生息し「北のガラパゴス」と呼ばれるこの島は、禁漁によってかつてない危機に直面しています。

記者「漁港には船の姿がありません。静まりかえっています」
かつて多くの漁船がみられた港は閑散としていて、“世界最大”といわれるズワイガニ加工工場も静まりかえっています。
この島の経済活動の約9割はズワイガニ漁関連。禁漁で市の財政は逼迫し、緊急医療サービスは専門職を雇えずボランティアでの対応に切り替え、4人態勢だった警察官は1人になりました。島で漁をしてきた先住民のリーダーはこう警鐘をならします。

先住民 エイモス・フィレモノフさん
「今はゴーストタウンです。気候変動は、当事者になってみないとわかりません。気づいた時には経済が成り立たなくなっているのです」