梅雨イワシと呼ばれているものがたくさん獲れたり…北海道ではサケ漁なのにブリが大量に獲れたり…私達の食卓に“異変”が起きています。原因の1つとして指摘されているのが「海洋熱波」です。アラスカでは100億匹のズワイガニがいなくなったという調査も。

北海道でブリ豊漁も…海洋熱波で“異変” 

東京・築地の鮮魚店では“異変”が起きていました。


斎藤水産 斎藤又雄 統括責任者
「品物によって時期的なものとか、魚が獲れる場所が変化してますよね。『梅雨イワシ』っていって、梅雨時のイワシが1番美味しいんですよ。もう全然違いますね。冬の時期に獲れたり季節が全然違ってきている。ブリなんかも今北海道でいっぱい獲れているんですよ」

季節に関係ない魚や、温帯性のブリが北海道から入荷してきているといいます。

2021年、北海道・羅臼町での秋サケ漁で網に入っていたのはサケではなく、大量のブリでした。さらに…

漁師「これシイラですね」

熱帯に生息するシイラまで…

北海道では、ブリの漁獲量が2007年の2244トンと比べ、2021年では約6倍の1万4077トンに急増。原因の1つとして指摘されるのが、海水温が異常に高くなる「海洋熱波」です。周辺海域を調査した北海道大学の見延庄士郎教授によると、「北海道でブリの漁獲量が急増した時期と海洋熱波の発生時期が重なる」としています。

消えた「アラスカ産」ズワイガニ…何が?現地を取材

海洋熱波による“異変”はズワイガニにも…

斎藤水産 斎藤又雄 統括責任者
「ロシア産のズワイガニですね。アラスカ産はほとんど出てないですから、去年あたりからずっとですね」

去年まではあった「アラスカ産」のズワイガニが、店頭から完全に消えたといいます。現地で今、何が起きているのでしょうか。

アメリカで漁業生産量トップ3を誇り、北平洋に囲まれた漁港のあるアラスカ州・コディアック島。ズワイガニ漁師が獲ってきたのはズワイガニではなく、「タナークラブ」という別のカニ。漁師たちは普段は獲らないカニの漁で生計をたてていました。

ズワイガニ漁師 ガブリエル・プラウトさん
「残念ながら今年はほんのわずかしかお金になりません。収入は85%ダウンです」


背景にあるのは、ベーリング海で初めてとなるズワイガニ漁の禁止です。生息するズワイガニの個体数が基準値を下回ったことがその理由です。これにより漁師たちの収入は激減、漁船の維持費すらカバーできないと話します。

ズワイガニ漁師 ガブリエル・プラウトさん
「こんなことは初めてです。あてにしていたズワイガニ漁がこうした形でできなくなるのは、とてもショックです」