学力よりコミュ力の評価がアップ…近年は体験の重要度が増している 

体験は重要だとしても、勉強のほうが大切と考える人も多いのではないだろうか。しかし、体験が子どもにもたらす影響は、今後、勉強以上に「成功のカギ」になるという見方が出てきている。

体験格差解消プロジェクトを立ち上げた一般社団法人リディラバの安部敏樹代表は、子どもの体験こそが教育的な価値の中心になってきていると指摘する。

ーー勉強が大切と感じる人は多いと思います。体験もそんなに大切なんでしょうか?

「例えば、受験です。年々AO入試(現在は総合型選抜)の割合が増加していますよね。(文科省によると2021年度は12.7%)AO入試は、自分が経験してきた体験をベースに小論文を書くなど、体験の量や質がそのまま受験の合否に跳ね返ってしまうわけです。

また、企業が求める人材の要件にも変化がみられます。近年重要視されているのが、コミュニケーション能力です。

海外のデータ(※1)ですが、雇用において学力とコミュ力で、いずれを重要視しているかを追跡調査したものがあります。かつては、コミュ力(調査では社交性)は低くても、学力(調査では数学的思考能力)が高い方が雇用において有利でした。それが、今は、学力よりもコミュ力が高いことの方が雇用に大きな影響を及ぼしています。

コミュ力は、学校でただ勉強していて培われる能力ではありません。いろんな人との出会いなど、体験に依るところが大きいです。つまり、体験の量や質が、そのまま受験の成功、仕事の成功、ひいては人生の成功に強く相関してきているといえるわけです」