ロシアの狙いは?“対欧米”で連携アピール

山本恵里伽キャスター:
アメリカのブリンケン国務長官は、こうした首脳会談を受けて「ロシアが中国などの助けを受けて、自国に都合の良い条件で戦争を凍結するという戦術的な動きに騙されてはいけない」と強調しました。

モスクワ支局 記者:
欧米の制裁を受け対立を深めるロシアにとって、中国の存在は経済面でも政治面でも非常に重要です。プーチン大統領は今回、中国の「停戦案」について「注意深く精査した」と述べた上で「尊重する」と評価し、習主席の面子を立てました。
ロシア大統領報道官も、ウクライナ情勢を念頭に、両首脳の会談では「突っ込んだやりとりと真剣な議論が行われた」としています。ただプーチン氏は一方的に併合したクリミアや、侵攻後に制圧したロシア側支配地域を絶対に手放さないという姿勢を崩しておらず、具体的な解決の糸口を見出すのは容易ではありません。

一方、ロシアメディアによりますと、習氏は3月20日、プーチン氏に対し“年内に中国を訪問するよう招待した”とします。
また首脳会談では両首脳と、さらに関係する幹部らを加えた拡大会合が開かれました。両首脳は今回の会談後、包括的戦略パートナーとする両国関係の強化や、2030年までの経済協力発展計画に関する2つの共同声明に署名する予定です。ロシアとしては対欧米で、中国との連携をアピールしたいものとみられますが、それは同時に、中国への依存をさらに深めることにもなります。

中国・習首席 ロシア訪問の狙いは?

北京支局 立山芽以子支局長:
アメリカとの対立が深まる中、中国にとってロシアは欠かせないパートナーです。そのためウクライナ侵攻後も経済面でロシアを支えた他、ロシアに対する西側諸国の経済制裁について繰り返し非難しています。



しかし、ロシアにべったりかというとそうでもありません。ロシアと一体となることで、西側諸国から経済制裁などを受けるのは困りますし、アメリカとの決定的な対立を避けたい中国としては、この1年ロシアと西側諸国の間で微妙なバランスをとり続けてきました。



中国としては、ロシアとウクライナ双方と話ができるという西側諸国にはない利点を生かし、今回のロシア訪問を通じて停戦交渉を促すという役割を果たすことで、国際社会の中での存在感を高めたい狙いもあるものとみられます。