東部の激戦、南部の膠着、全土への空からの攻撃…。ウクライナ戦争の状況が日々伝えられる中、ウクライナの隣国で異変が起きている。モルドバだ。この国で今、野党支持者たちによる大規模なデモが頻発している。そして、その裏にどうやらロシアがいるらしい…。戦争の陰で始まった小国の緊張を読み解く。

「ロシアの破壊工作員が民間人を装って」「野党による抗議活動を装った暴力行為によって政権交代を…」

ウクライナの南西に位置するモルドバ共和国。九州よりもやや小さく、然したる産業もない東欧の中でも貧しい国だ。憲法には中立主義が謳われているが、ロシアによるウクライナ侵攻後、EU加盟を申請。2022年6月、EU加盟候補国に認定された。

そのモルドバが大きく揺れるきっかけは、ゼレンスキー大統領のスピーチだった。

ゼレンスキー大統領(2月9日 EU首脳会議での発言から)
「我々の諜報部が入手した情報をモルドバのサンドゥ大統領に伝えた。だれが、いつ、どうやってモルドバを崩壊させようとするのかを示すロシアの文書だ」

それはモルドバの“政権転覆計画”だった。この情報を伝えられたモルドバの大統領は、文書にあった計画の内容を公表した。

マイア・サンドゥ大統領
「ロシアが我が国の領土で破壊的な行動を取る計画は新しいことではない。去年秋にも国家を揺るがす試みがあった。このシナリオを阻止するために、私は全ての国家機関に最大限の警戒を呼び掛ける。クレムリンの試みは成功しない」
「近い将来、訓練されたロシアの破壊工作員が民間人を装ってモルドバに侵入し、暴力行為、政府の建物への攻撃などを行うことを計画している。いわゆる野党による抗議活動を装った暴力行為によって政権交代を強行しようとするだろう…」

その後実際に大規模なデモが起こった。デモを先導する野党党首は拡声器で叫ぶ…。

「マイア・サンドゥやめろ!」「政府はモルドバ国民の声を聞かない!」

デモに集まった親ロシア派の民衆は、親欧米派のサンドゥ大統領の退陣を要求。こうしたデモは現在までに度々起きている。