■2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™準々決勝 日本代表9ー3イタリア代表(16日・東京ドーム)
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準々決勝で、侍ジャパン(プールB1位)がイタリア代表(プールA2位)を9ー3で下し、5大会連続の準決勝進出を果たした。
3大会ぶりの世界一奪還へ、負ければ敗退の大一番。「3番・指名打者」で先発のマウンドを託された大谷翔平(28)が、立ち上がりから気迫のこもった投球を見せた。1球ごとに声を響かせる、まさに魂のピッチングで2回には今大会自身最速の164キロを計測。4回2/3、71球を投げ被安打4の5奪三振2失点で2人目の伊藤大海(25)につないだ。
打者・大谷も勝利への執念を見せた。両チーム無得点で迎えた3回1死一塁の場面に意表を突く三塁へのセーフティーバント。1死一・三塁とチャンスメイクすると、初めて4番に座った吉田正尚(29)の遊ゴロ間に先制した。さらに2死一・二塁で6番の岡本和真(26)に3ラン。大谷をきっかけに4得点。序盤に主導権を握った。
5回には5番・村上宗隆(23)に待望の今大会初タイムリー。岡本もタイムリーで続き、5打点の活躍を見せた。さらに、吉田が7回に今大会初アーチで10打点目。打点ランキングで全体トップに躍り出た。
投手陣は3人目・今永昇太(29)が1回を2奪三振無失点。4人目は13年ぶりのリリーフ登板となったダルビッシュ有(36)が2回27球を投げ1失点。最後の大勢(23)が無失点で豪華リレーを締めると、41723人の観客が沸いた。
準決勝は日本時間の20日と21日にアメリカ・マイアミ(ローンデポパーク)で行われ、侍ジャパンは21日にプエルトリコとメキシコの勝者と対戦する。
大谷翔平、全身全霊の71球!最速164キロ
1回は先頭のS.フレリック(22)を146キロのスプリットで空振り三振。3番・Do.フレッチャー(25)への1球目に160キロをマークしたがセンターへのヒットを許す。4番のB.サリバン(29)は落ち着いて二ゴロに打ち取り、立ち上がりを無失点で抑えると小さくガッツポーズ。

2回、大谷は5番・V.パスカンティノ(25)に対する6球目に、自身最速まであと1キロに迫る164キロのストレートで空振りの三振。会場はどよめきの声が。2回、3回を3者凡退に抑えた大谷は4点リードをもらった4回、この日最初の四球などで2死一・二塁のピンチを招くが、カブス所属の7番・M.マストロボニ(27)に157キロのストレートをレフトへ弾き返されたが、吉田がフェンスにぶつかりながらもナイスキャッチ。大谷もガッツポーズでベンチに戻った。
5回もマウンドに上がった大谷は1死一・三塁のピンチを招き、フレリックを浅いセンターフライに打ち取ったが続くロペスにはこの回2つ目の死球で2死満塁に。ここでDo.フレッチャーに161キロのストレートをライト前に運ばれ、2ー4と2点差に迫られた。71球になった所で栗山監督がマウンドへ行き投手交代を告げた。
2死一・三塁でマウンドに立った2人目・伊藤大海(25・日本ハム)は、この緊迫した場面で4番・サリバンを153キロのストレートで遊フライに打ち取りガッツポーズを見せた。
先制呼ぶ大谷のバント、岡本、村上、吉田ら中軸が爆発!
1回は先頭のヌートバー(25)がヒットで出塁すると、近藤健介(29)の四球で無死一・二塁のチャンスに。ここで最初の打席に立った大谷は、151キロのストレートを完璧に捉えたが“大谷シフト”で二塁ベースの後ろで守っていたショート正面へのライナーに倒れる。続く4番の吉田正尚(29)、5番村上宗隆(23)もランナーを返せず先制のチャンスを逃した。2回は6番・岡本和真(26)が四球で出塁すると、1死一塁の場面で昨季140試合で1盗塁の岡本が盗塁を仕掛けるがタッチアウト。
両チーム無得点のまま迎えた3回、1死から近藤が2打席連続四球で出塁すると、大谷が1球目でまさかの送りバント。これを相手ピッチャーが焦って一塁に悪送球で、一塁の近藤が三塁へ。ここで4番の吉田がセンター前に弾き返すも“守備シフト”にかかってしまい遊ゴロとなったが、その間に近藤が生還し貴重な先制点を挙げた。さらに2死一・二塁で6番・岡本がカウント2-2から6球目のスライダーを上手くすくい、レフトスタンドへ3ランを叩き込み4ー0とリードを広げた。

取られたら取り返す侍ジャパン。5回は先頭の大谷が四球で出塁すると吉田が死球で無死一・二塁。続く5番村上がイタリア4人目のV.ニトリ(32)の1球目を完璧に捉えセンターオーバーのタイムリーを放った。1次ラウンド4試合でヒット2本と苦しんでいた村上にWBC23打席目で待望の初タイムリーが生まれると、続く岡本も1球目を右中間へ2点タイムリーを放ち、2者連続初球攻撃で7ー2。さらに7回には吉田のWBC初本塁打(ソロ)、ケガを押してスタメン出場の源田壮亮(30)にもタイムリーが飛び出し9-2と突き放した。

7回、侍ジャパンのマウンドにはダルビッシュ有(36)が登板。日本ハム時代以来13年ぶりのリリーフ登板となった。先頭打者を追い込むと外角低めに152キロのストレートで見逃し三振、続く打者をツーシームで詰まらせサードゴロ。最後の打者はカットボールでショートゴロと1回を14球で締めた。
8回のマウンドに上がったダルビッシュは1死から3番・Do.フレッチャーにスライダーが甘く入りレフトへソロ本塁打を被弾。続く4番・サリバンにもライト前ヒットと連打を浴びた。マウンドで一呼吸空けたダルビッシュは5番・パスカンティノを二ゴロダブルプレーに打ち取り、1失点で凌いだ。

9ー3で迎えた9回は大勢(23・巨人)がクローザーとして登場し、ヒット2本を打たれるが無失点で切り抜け、侍ジャパンが5大会連続で準決勝進出を決めた。
試合後、栗山監督は「試合前、久しぶりに選手と話をする中で、これだけの緊張感というのをね、なかなか感じないくらい選手は緊張していた」と試合前の選手たちの様子を語った。それでも大事なマウンドを託した大谷については「あまり人前でこういう話はしませんが、今日に関してはファンの皆さんの所にも届いたと思いますが、翔平があれだけ1球1球、声を出しながらね、何とかしたいというのは初回から感じていたので、その思いは僕を含めて全員に伝わっていました」と大谷のピッチングを褒めたたえた。