魚の“食欲”が分かるAI漁業 値段もリーズナブルに!?

その秘密を探るため、愛媛県の養殖場へ。

ここで管理している生け簀はおよそ50で、1つの生け簀に飼育されている真鯛は7000~8000匹です。

広沢水産 廣澤正洋代表
「綺麗です、形も」

養殖業者にとっては、毎日のエサやりが一番のカギだといいます。

広沢水産 廣澤正洋代表
「エサやりは一番重要です。エサやり過ぎて病気になったとか、太りすぎて。食べる量もありますし、いつやるかとか時間帯とか」
  
海にポツンと浮かぶ青い箱…ここに“AI漁業の秘密”が…

エサやり機開発「ウミトロン」 佐藤彰子さん
「生け簀の上においてあるのが、AIとIoTを活用したエサやり機になります。下にカメラがついていて、AIが魚の動画の様子を見ながら、食欲があるかないかを判定して、食欲がないと思ったら自動で量を調整したりとか、自動で停止する機能が搭載されています」

AIが24時間、真鯛を観察し、エサを与えたときの遊泳行動や食いつき具合を解析。

“腹ぺこの魚が多い時にはエサを大量に”、逆に“満腹の魚が多い時にはエサを少しだけ”、適したエサの量を管理することが可能になりました。

広沢水産 廣澤正洋代表
「エサをやった分量をデータで出してくれる。全部やってくれるので楽です」

この養殖業者では、エサ代のコストが全体の約7割。さらに近年は物価高で、エサ代が高騰していることもあり、無駄なエサを少なくすることでコスト削減となります

機械を設置しておけば、生け簀を訪れる必要はありません。スマホ1つで、どこからでもエサやりができます。

“漁師の労働環境改善”に、“コスト面での負担軽減”や、“エサのフードロス削減”

“一石三鳥”ともいえるこの仕組みで、新鮮な魚を安定して消費者に届けることができます。

くら寿司 小山祐一郎さん
「私どももリーズナブルな値段でお客様に提供ができる。AIを活用した魚というものを積極的に仕入れたり、養殖したりっていうところに、私達もチャレンジしていきたい」

“次世代のAI漁業”、この取り組みが日本の水産業を救うかもしれません。

小川彩佳キャスター:
余ったエサは、赤潮の原因となるプランクトンの発生にも繋がってしまうという指摘があるそうで、いろんな意味でこのAIの活用というのが効を奏していくんですね。

慶応大学医学部教授 宮田裕章さん:
そうですね、これを見て改めて思うのは、魚のエサは個別化してるのに、人間がまだだっていうことですね。
やっぱり食べ過ぎると病気になるって人間も同じなので、今後こういったことがAIによってサポートされるっていうことが始まっていくと、人間のフードロス削減にも繋がるかもなと思います。

小川彩佳キャスター:
大きな問題であり続けてますからね、フードロスは。解消されていくのでしょうか。