瀬戸内の島から令和の妖怪が生まれます。小豆島にある妖怪美術館で全国の造形作家による妖怪コンテストが開かれ独特の感性で生み出された妖怪たちが発表されました。

生き物の記憶を食べて子を産む妖怪「海馬(うば)」に、口の中に住み着いて歯を溶かす「蟲婆(むしばばあ)」…日常生活に潜む作者にしか見えない妖怪を見える形にしたという造形作品です。

小豆島で行われる妖怪造形大賞も今回で6回目。1次選考を通過した32の妖怪の中から最優秀作品を選ぼうと、おもちゃコレクターの北原さんらが審査を行いました。

(妖怪造形大賞 北原照久審査委員長)「妖怪って、見えない心の中にあるようなものだとかね、人間がイメージで想像で作ったものだとか、毎回毎回よく考えてコンセプトが、ストーリーがいい」
審査会場は、島の中にある古い建物を利用して作られた妖怪美術館。古くから伝わる恐ろしい妖怪から、どこかユーモラスな新たな妖怪まで、約800の造形作品を集めました。妖怪アートを世界に発信し島を活性化しようという妖怪プロジェクトです。


(妖怪博物館 柳生忠平 館長)「外からみたら異世界、そもそも小豆島が異世界に見えているところがあるのでは。ちょっと日本の妖怪に会いに行こうということで海外の人にも来てもらったり、『妖怪』を世界共通語にしたい」

(古川豪太 記者)「出会うとSNSがバズるという妖怪「いいね!いいね!」。このように妖怪が生まれた背景や物語も審査のポイントとなります。」

新型コロナの感染が広がってから初めてとなるコンテスト。時代を映し、妖怪といっても明るい未来を期待するような作品が集まりました。
作者のこだわりを感じ審査も難航します。そして審査の結果、75作品の頂点に立ったのは…
「最優秀作品賞 春風龍です」
見た人が春を迎えたような幸せを感じるという妖怪「春風龍(しゅんぷうりゅう)」が最優秀作に選ばれました。

(北原照久 審査委員長)「この何年間かコロナ禍で気持ちが沈んでいるじゃないですか。このままいったらどうなるんだろうというところでこの妖怪が『がーっ』みたいなね、いい作品でした」

(妖怪美術館 柳生忠平 館長)「妖怪をどんどん生み出す島、集まってくる島、それを人間の皆さんが感じに来る島になっていけば、またおもしろいかなと」
今は知られていなくても100年後には世界中に広がっているかもしれない。小豆島で新たな妖怪が生まれ続けています。

目標としている妖怪1000体誕生まであと少し。今回の応募作品はきょう3月14日から小豆島の妖怪美術館で展示されています。