船は守ったが・・・

高橋頼夫さん:
「ここに入ってきたときは、この市場がすごいことになっていてね。市場の上に家がのっかっていましたよ。知っている船が、半分に割れて、表の方があそこに乗りあがっちゃって。(割れちゃって?)ええ」

結果として、船を守ることができた高橋さん。当時の状況を振り返り、こう語ります。

高橋頼夫さん:
「いやあーそりゃあ、ねえ。漁師の性だね。津波が来る前に出そうっていうような頭、みんな。大丈夫だっていう確信はあったけどね。第一波が50センチって(ラジオで)言ったんですよ。それで大丈夫だっていうので。(どのぐらいならやめる?)ああそれはわかんない。わかんないから岩手県でもどこでも、事故を起こして亡くなってしまった。やめればいいんだけどね。(また大きい地震が来たら船は出したい?)いやあ。どうなるかねえ。反対されますね、みんなにね。」

東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は、「沖出しは必ず成功するものではない」と強調します。当然、津波のスピードが、船の推進力を上回れば失敗します。