屋上から「おじいちゃーん」と叫んだ子ども

あの日、津波は校舎2階まで押し寄せ、児童や住民およそ320人は屋上で難を逃れました。しかし、荒浜地区ではおよそ800世帯が津波の被害を受け200人近くが犠牲となりました。

震災発生から6年後の2017年、荒浜小は県内で初めて、被災した学校を常時公開する施設としてオープン。これまでに42万人以上が訪れています。川村さんは震災当時、児童らの避難誘導にあたり、荒浜を襲う津波を校舎の屋上で見ていました。

震災当時荒浜小校長・川村孝男さん:
「おじいちゃんの家が流れるのを見て、『おじいちゃーん』って叫んでいた子がいたというのを担任に聞きました。それはつらかっただろうなと」

あれから12年、日々、ガイドを務める中で震災の風化を感じることが増えているといいます。

「12年経つと小学生で、(当時)生まれてない子ばかりが来るようになりました。そういった子どもたちにどうやったら津波の恐ろしさや身を守ることの大切さを伝えていけるのか」

そんな河村さんと同じ思いで、荒浜地区に通い続けている人がいます。