「自閉症」の診断に“普通”である娘と比較も… 支えになったのはYouTube

お母さん
「育てていて、“コミュニケーションが苦手な子”だなって。なんか…“変”って」

もっくんが少し変わっているかもと感じたのは、1歳の頃だという。お母さんの姿が見えなくなるところまで1人で行ってしまったり、砂や石鹸など口の中に物を入れる行為が続いたりした。幼稚園に入ってもなかなかしゃべることができず、言葉が出ても必要な最低限のことを二語文、三語文程度で話すだけだった。

それでも発達障害とは思わなかった。周りの成長に絶対追いつける…成長は遅くても出来ないわけじゃない…と育てていた。しかし、幼稚園の先生から「指示がわかってないところがあります」と言われたことをきっかけに、専門機関で検査をしたところ「この子は軽度から中度の自閉症です」と告げられた。

「もっくんが…?」診断された当時はどうしたらいいかわからず、悩んで、ノイローゼになりそうだったという。妹のかりんちゃんと比較してしまったこともある。

仲良しなもっくん(7)と妹・かりんちゃん(5)

お母さん
『なんでかりんみたいに普通じゃないんだろう』って。やっぱりかりんは生まれた頃から笑顔でコミュニケーションがとれたのですごくかわいくて、癒しのマスコットみたいな感じ。対するもっくんは、言う事聞いてくれないし、癇癪を起こすので『はあ…』って溜息が出る。彼が悪いわけじゃないけど、当時はパニック・癇癪がひどかったので『なんでこんな苦しむの!?』ってことがすごくあって、『自閉症かあ…でもやっぱり育てなきゃいけないんだよな』と思ったこともあります」

“普通”ともっくんを比べる毎日が続いた。当時はお母さんも、周りに発達障害の子どもはいないし、もっくんが癇癪を起こしてもどうしていいかわからなかった。自分だけで抱えていると、どんどん孤独を感じたという。

そんなお母さんが前向きになったきっかけは、YouTubeだった。「自閉症」で検索すると、同じ境遇の人たちが様々な発信をしていた。1人じゃないんだ。そう感じてお母さんは動画を泣きながら見続けたという。そして、自閉症や発達障害について動画を通して子どもの“障害”とどう向き合うのか、どう子育てをしているのかなどを伝えていることに感動し、悩んでいるのは自分だけではないと勇気をもらえたのだという。

もっくんが将来大人になって、自分の特性を話せるようになった時に「甘えだよ」って言われてほしくない。お母さんは、もっくんとの日常生活を通して、見た目だけではわからない自閉症についてみんなに知ってもらいたいと発信を始めた。