津波が迫る中、どう逃げればいのちを守ることができるのか・・・津波による犠牲者をゼロにしたいとデジタル技術を使って研究を進める学者がいる。”津波に遭わない最適な避難経路”を瞬時にスマートフォンに示す、最新の研究を取材した。
(TBS/JNN 3.11震災特番NスタSP“いのち” ディレクター 宮田あやか)
「今までの対策でよかったのか」 震災を目の当たりにした学者の後悔
中央大学で津波防災の研究を行う有川太郎教授。
地震の強さや震源の位置によって変化する津波の動きをシミュレーションし、津波に遭わない最適な避難経路を導き出そうとしている。
有川教授
「『こっちに逃げた方がよかったんじゃないか』というような後悔、(避難時の)判断の間違いをなくしていくことができれば全員災害から逃れられる」
有川教授はもともと神奈川県の港湾空港技術研究所で、どうすれば津波や高潮に強い防波堤を低コストで作れるかなどを研究していた。
しかし、東日本大震災では津波が防波堤を越え、多くのいのちが失われることに。
発生から2か月後、津波による被害状況を調査するために被災地を訪れた有川教授は、街の惨状を目の当たりにし、“これまで自分の研究は正しかったのだろうか”と、自責の念に駆られたという。

港湾空港技術研究所 有川上席研究官(当時)
「『防波堤、防潮堤があったから逃げなかった人がいましたよ』と言われたことが一番きつかったですね。本当にいままでの対策でよかったのか…」
それから有川教授は、防潮堤などのハード面の整備だけでなく、住民たちの避難のあり方にも目を向けて研究を始めた。
“2度と同じ悲劇を国内で繰り返してはならない―” その決意は固かった。
