殺生してから手を合わせる 命で命をつないでいることへの感謝の気持ち

人間の生活のために犠牲になった生き物に手を合わせる。日本にはそんな風習が実は古くからある。弔いの対象は「駆除した命」に限らず「身代わりになってくれた命」「食べものとしていただいた命」など幅広い。長年「日本の台所」として親しまれてきた旧築地市場のそばにある神社には「海老塚」「鮟鱇塚」「活魚塚」・・・など魚にまつわる供養塚がたくさんある。

アース製薬の「虫供養」は「命の大切さを改めて考える機会」として40年以上続いているという。なんと毎年毎年、死んだ虫の数を記憶にとどめる研究員もいるそうだ。そして、虫の命を意識することは、商品開発にも変化をもたらした。虫が必要以上に苦しまないよう虫の視点に立って作った商品もあるというのだ。

供養を通して見えた小さな命。さて、自分はどうだろう。小さな虫の尊厳を意識しているか…台所に現れたゴキブリに「お前はどうなんだよ?」と問いかけられそうだ。