「お楽しみ」を次の世代に残す...いい形でバトンを渡したい

―――外国人観光客も戻りつつあります。アフターコロナの取り組みは?
去年12月には「南京町ランターンフェア」を開きました。去年も中止になった神戸ルミナリエの代替事業として、南京町の広場で光の装飾「ロソーネ」を披露させていただきました。初めてルミナリエを見た時は本当に涙が出そうなくらい感動しましたし、その気持ちを末永く忘れないでいたいという思いからです。今年1月には「南京町春節祭」を開きました。コロナ禍以前とほぼ同じ規模に戻しました。また、この時期に合わせて、南京町監修で大手コンビニ「ローソン」とのコラボ商品7点を販売する試みもしました。
―――南京町商店街振興組合の理事長としての夢は?
たいそうなことはあまり考えていないですけど、次の世代にバトンタッチしやすいようなバトンをいい形で渡すことですかね。重たいとか形の悪いバトンではなくて、スムーズに渡せるようなバトンを次の世代に渡してあげる。加えて、我々の時代で全部やり尽くさない。お楽しみは次の世代に残す。幸せに感じる瞬間は、自分たちが考えたことが現実化する時だと思っています。その時が一番幸せややりがいを感じると思いますので、そういうことを感じられるようなフィールドを残してあげたいなと思っています。

―――最後に、曹さんにとってリーダーとは?
リーダーとは想像力、行動力、そして責任感が必要だと思います。さらに最近特に思うのは、柔軟性が大切だということですね。自然災害や国際化などのような課題に対して、柔軟性のある判断がリーダーにとってはこれから大切な要素になると思います。
■曹英生 1957年、神戸市で生まれる。神戸中華同文学校、龍谷大学経営学部を卒業。1979年、老祥記に入社。1996年、同社社長。2003年、南京町商店街振興組合5代目理事長。
■南京町商店街振興組合 1977年、南京町を維持管理するため商店主たちが結成。南京町は東西約270m・南北約110mの範囲に100を超える店舗が軒を連ね、異国情緒あふれる神戸屈指の観光スポット。横浜中華街・長崎新地中華街とともに日本三大中華街の一つに数えられている。
※このインタビュー記事は、毎月第2日曜日のあさ5時30分から放送している「ザ・リーダー」をもとに再構成しました。