潤いのあるものに触れた時に用いる「しっとり」という言葉。しかし、濡れていないものを触った時にも、「しっとりさ」を感じることありませんか?

あいまいな「しっとり感」の正体とは何なのか...なんとこの感覚を数値化するセンサーを、香川大学が開発しました。

これが(画像参照)新たに開発された「指先型半導体触覚センサー」です。計測したいものの上を滑らせて、使うといいます。

香川大学創造工学部の高尾英邦教授が「繊細な指先の感覚を可視化しよう」と、8年をかけて完成させました。

従来のセンサーでは、「固さ」や「表面の凹凸」などを見分けることはできましたが、じわっと指に吸い付くような「しっとり感」を計ることができませんでした。

(香川大学創造工学部 高尾英邦教授)「私たちの指先は、非常に敏感な感覚器をたくさん持っていますので、そのしっとり感が生み出される元になる、表面のわずかな吸着力に着目しました」

そこで、高尾教授が着目したのは、水の持つ、「踏ん張る力・表面張力」でした。濡れた素材を触るとき、指先は水の表面張力を感じとっていて、それを「しっとり」と表現しているのではないか。

人工の革など、あまり水分をふくまない素材にも「しっとり」を感じるのは、「指先が表面張力と似た力を感じ、錯覚しているのではないか」と考えたのです。

(香川大学創造工学部 高尾英邦教授)「表面のわずかな吸着力、これが存在するかどうかというのが、人間の感覚で言いますと、表面がわずかに潤っているのか乾燥しているのかの違いを生んでいると」

この考えを確かめるため、試行錯誤を重ねてセンサーを開発。

人間の指紋のような接触部を、0・5ミリ間隔で配置しました。これで様々なものをなぞると、1ミリ間隔で指先にかかる力を見分けることができなんと、人が「しっとり」を感じる力を数値で現すことができたといいます。

(香川大学創造工学部 高尾英邦教授)「身の回りにある様々な素材の質感というものが今重視されていますから、そういうところのモノづくりがこの技術によってさらに良くなっていくのではないかと期待しています」

「しっとり感」を見分けるセンサーは、既に海外の学会でも評価され始めていて、しっとり感が求められる「おむつ」や「化粧品」など様々な分野での活用が期待されているということです。