旧ソ連軍の武器・弾薬およそ2万トンが貯蔵されている、モルドバの親ロシア派支配地域“沿ドニエストル共和国”。そこで2日に渡り続いた爆発は、誰が何の目的で起こしたのか?

■モルドバの親ロシア派支配地域「沿ドニエストル共和国」とは


ウクライナの隣国モルドバは、EU加盟を目指していることもあって、ロシア軍の第2の侵攻対象になるのではないかという懸念があります。モルドバの親ロシア派支配地域で起きた爆発によって、その懸念は強まりつつあります。親ロシア派が一方的に“沿ドニエストル共和国”と名乗るこの地域は、どういったところなのでしょうか?

名前の由来は、モルドバを流れる「ドニエストル川」沿いにあることから、“沿ドニエストル共和国”と名付けられました。

民族構成をみると、モルドバはロシア人が僅か4.1%ですが、自称「沿ドニエストル共和国」では、およそ3割を占めています。町には至る所にレーニン像や、旧ソ連の「槌と鎌」が描かれた国旗や国章が飾られ、さながら“小さなソ連”のようだといいます。

共和国を名乗っていますが、国際的には国家承認を得られていない未承認国家です。


ソ連崩壊が進み、ソビエト連邦を構成する共和国が次々と独立、モルドバも主権を宣言する中、18世紀からこの地域に入植していたロシア系住民が1990年に、一方的に独立を宣言しました。

その後、モルドバとの間で武力紛争が起きましたが、92年に休戦協定を結び、以降、平和維持軍と称して、ロシア兵およそ1500人が、駐留を続けています。またこの地域には、旧ソ連軍の武器や弾薬およそ2万トンが貯蔵されています。

こうした場所で起きた一連の爆発について、親ロシア派側はウクライナ側の攻撃と主張、一方、ウクライナ側は、ロシアの自作自演ではないかと指摘し、ロシア側が反撃を口実に攻め込んでくる可能性もあるとみています。

実際にロシア軍高官は、ロシア本土とクリミア半島を陸で結び、「沿ドニエストル共和国」との「アクセスも可能にする」と述べています。