「ヨーロッパのパンかご」とも呼ばれる世界有数の小麦生産国・ウクライナ。その農地は軍事侵攻により荒らされ、生産も輸出もできない事態に。この影響が今、世界に深刻な影響を与えています。何が起きているのか、取材しました。

■小麦畑は戦車で荒らされ地雷が・・・“小麦大国”ウクライナの惨状


ロシアの軍事侵攻は、ウクライナの農業にも影響を与えている。

増尾聡 記者:
こちら中部ドニプロの小麦畑です。このあたりは比較的落ち着いていますので、このように農地も手入れされているような状況です。一方で、さらに前戦に近い農地では農家が危険と隣り合わせの作業を続けています。

「ヨーロッパのパンかご」と呼ばれるほど、広大な穀倉地帯が広がるウクライナ。小麦の輸出量は世界5位を誇り、ロシア産と合わせると、世界全体の3割を占めている。

しかし、その小麦農家では・・・

イベリア・アグロ社長兼ベリコディメルス地区議員
アレキサンドル・フェシュンさん:

2000平方メートルが焼失しました。常に戦闘が続く中で、農場は戦車や装甲車にひどく荒らされました。

キーウ郊外で地元議員を務めるフェシュンさんも小麦農家の1人だ。攻撃を受け、倉庫や施設が大きな被害を受けていた。

フェシュンさん:
エンジンをかける装置が盗まれている!

5台あったトラクター全てが破壊され、部品の略奪もあったという。ロシア軍が去った後にはミサイルの破片などが残され、農業を再開できない場所もあるという。

金平茂紀キャスター:
本当は3月、4月というと、種まきが終わっている頃でしょ?

フェシュンさん:
3月と4月に春麦の種を蒔かないといけませんでしたが、遅れたので今年は蒔きません。この呪われた戦争が早く終わるように期待しています。我々が農業を続けていけるように。

ウクライナ北東部の街・スーミでもこんな惨状が広がっていた。

スーミで農場を経営する アレキサンドルさん:
これは戦車とか、軍事車両が通った跡です。

新芽が吹いた小麦畑はロシア軍の戦車で荒らされていた。農場を営んでいるのは、小麦やひまわりなどを生産するアレキサンドルさん。

アレキサンドルさん:
ここは砲撃された場所です。むこうにもいくつも穴があります。畑には全部で6つの穴があり、その周りはミサイルの破片だらけになっています。

さらに・・・

アレキサンドルさん:
畑には地雷が仕掛けられている可能性があり、危険です。このままでは、ここで作業はできません。

被害を受けていない場所でなんとか農業を再開させたが、2021年に収穫した小麦などの作物の出荷に困っているという。

金平キャスター:
普通は作った小麦やひまわりは海外に輸出するんですよね?今年はこういう状態になって、どうなっているんですか?

アレキサンドルさん:
現在、倉庫には売れ残っている農産物があります。

本来の輸出ルートだったオデーサなど黒海の港がロシアに封鎖されるなどし、現在、穀物の輸出量は激減しているという。

アレキサンドルさん:
南部の州や港へは現在、アクセスできなくなっています。列車で輸送するには限界があり、計算すると輸送費だけでほとんどの利益が消えてしまいます。

ウクライナでは2021年、2000万トンの小麦を輸出している。しかし、軍事侵攻があった3月の小麦の輸出量は、前の年の4割にとどまっているという。