イラン副大統領に単独取材「抗議デモは西側諸国の陰謀」

世界各地に広がるイラン政府への抗議デモ。こうした情勢を当局はどう捉えているのか。イランの女性・家族問題担当の副大統領カザリィ氏に話を聞いた。ヒジャブの着用を巡って起きた抗議デモについては・・・

カザリィ女性・家族問題担当副大統領
「西側諸国が今回の出来事(抗議デモ)を悪用したのです。女性たちを挑発してヒジャブの着用をやめさせようとしました。ヒジャブを軽蔑することで我が国の文化・習慣を破壊しようとしてます。それによってイラン社会を破壊したいのです」

一連の抗議デモは西側諸国の陰謀だと主張した。さらにデモの参加者に死者が出ていることについては・・・

須賀川拓記者
「西側(諸国)の統計によると、あなた達がいう“暴動”で500人が死亡しています。その内70人は18歳未満と発表されています。この数字は正しいですか?」

カザリィ女性・家族問題担当副大統領
「いいえ、正しくありません。死者数はもっと少なかった。両者から死者が出ています。警察官、治安部隊は拳銃の所持を認められていませんでした。とにかく一人も亡くなってほしくなかった」

イラン国営放送
「最高指導者のハメネイ師が数万人の恩赦に合意しました」

2月5日。デモに参加した被告人ら数万人に恩赦を与えると発表した最高指導者のハメネイ師。それに先がけ、去年12月には検事総長がヒジャブの着用を取り締まる風紀警察の活動を「停止する」と発表した。

これらの措置について、専門家は「当局側が体制を維持するためにガス抜きを図っている」と指摘する。

中東調査会 青木健太 主任研究員
「今、ハメネイ最高指導者が83歳と高齢で近い将来、何らかの形での権力移行が起きるかもしれない。最高指導者の交代ということを踏まえると、やはり民心を掌握していかなければならない。一方で今の体制というのは、イラン国民の広範な支持を受けて44年前に成立したものであって、盤石な治安機関もあるし、情報機関もある。イラン革命の再来ということには中々ならないと思う」

村瀬キャスター
「ただ、社会の中では宗教離れが進んでいるというところは現実としてありそうですね」

中東調査会 青木健太 主任研究員
「そうですね。2022年9月以来の動きを見ると、体制が掲げる原理原則みたいなもの、それと別に、宗教離れしているイランの一つの社会の層が出てきている。風紀警察の取り締まりは怖いけど、自分は自分の思うままに服を着ると。女性の権利というのをちゃんと享受するという意識が芽生えてきているので、(デモが起きた)9月16日以前に、イランの社会は簡単には戻らないんじゃないかと考えます」