H3初号機はなぜ打ち上がらなかったのか、改めて見ていきます。

全長が57メートル、重さがおよそ430トンあるH3初号機の打ち上げには、メインエンジンを補助するため、高さ15メートルの補助ロケットが機体の下の部分に2つ取り付けられています。
17日のトラブルは、メインエンジンは着火したものの、補助ロケットは着火しなかったというものです。


Q.補助ロケットはどうして着火しなかったのでしょうか?

本来は、メインエンジンの着火直後に補助ロケットも着火する仕組みですが、メインエンジン着火後に打ち上げシステムが異常を検知したことから、補助ロケットを着火する信号が自動的に送出されなかったということです。

JAXAは今のところ、補助ロケットではなく機体に異常があったとみて、原因を調べるとしています。


Q.システムが自動的に作動して打ち上げ中止となるケースは珍しいのでしょうか?

直近では10年前の2013年8月に、イプシロン初号機が中止されたケースがあります。

イプシロン初号機はシステムがロケットの姿勢の異常を検知し、打ち上げ19秒前に自動的に中止されたもので、システムの一部修正が行われ、およそ2週間後に打ち上げられました。


JAXAはH3初号機の再打ち上げ日は現時点で未定としていますが、トラブルや天候不良に備えて事前に設定していた来月10日までの予備期間内には打ち上げたいとしています。

H3の打ち上げは、当初2020年度の計画でしたが、メインエンジンの開発トラブルで2年延期されています。
世界的な衛星打ち上げビジネスの参入を目指す日本にとって、新型主力ロケットの打ち上げ延期は大きな打撃になりかねないため、1日も早い原因究明と打ち上げの成功が求められます。