おととし10月、地震によって日暮里・舎人ライナーが脱線した事故で、運輸安全委員会は東京都交通局に対し、乗客の避難誘導の方法を整理し、輸送の安全確保を最優先するなど対策を講じるよう勧告しました。

おととし10月の千葉県北西部を震源とする地震では、東京・足立区などで最大震度5強を観測し、足立区内を走行していた日暮里・舎人ライナーの1両目が脱線。この事故で、複数の人が転倒し、乗客8人がけがをしました。

舎人ライナーは自動運転システムで、線路左右の壁に設置されたガイドレールに車両の左右に取り付けられているガイド用車輪が接触し進行します。この事故について運輸安全委員会がまとめた報告書によりますと、1両目列車の前右側のガイド用車輪が、地震の震動によりガイドレールに乗り上げた影響で列車が左右のバランスをくずし、タイヤが線路から落ちて脱線したことが事故の原因としています。

また、脱線した車内に煙が入ったことについては、指令員が列車が脱線した状態を確認せずに再送電し、列車付近から火花が散ったことが原因としています。

運輸安全委員会は、東京都交通局に対し、▽地震により列車がガイドレールに乗り上げないよう対策を講じることや、▽震度5弱以上の地震が発生した場合乗客の安全確認を最優先し誘導方法や手順をマニュアルに記載するなど、周知徹底するよう勧告しました。