日米の危機意識の差

井上貴博キャスター:
中国外務省のコメントは、けん制の域を超えて、脅しというか、そこまで言われる筋合いはないのだろうなと思いますけど、その一方で日本政府としては、今回のニュースがなければ、気球は正体不明のもので片付けられていたと考えると、危機管理に疑問符がつくというところは拭えない感じがします。

オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈代表:
今回、アメリカの件があって、ようやく気球の確保も含めて、わかってきたということだったので、早くわからなかったっていうのかというところは、すごく不安に感じます。やっぱり何かあってからでは遅いですし、偵察気球などは、未然に防がなければいけないものだと思うので、こういうわからない状態のときに、何ができるかみたいなところまでしっかり決まってないと、結局、何か起きてからではないと動けないという状態のままだと、安全保障が成り立たないのではないかというふうに感じます。

井上キャスター:
領空だけではなくて、領土・領海も含めて、中国が入り込んでくる中で、当時の河野大臣のこういった答弁があると、もう少し誠実に対応してもらわないと、不安だけが増えてしまいます。

オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈代表:
当時の河野大臣の答弁を見ると、気球は中国のものだとそもそも思ってなかったのではと感じました。逆に言うと、アメリカは、今回すぐに気球を撃墜していて、そういった危機意識の差というのは、すごく強く感じます。

日本で気球撃墜は難しい・・・??

ホランキャスター:
今後、日本としてはこの気球に対してどのような対応を行うのでしょうか?

2月14日、浜田靖一防衛大臣は、「我が国の領空に許可なく侵入する外国の気球については、必要と認める場合は所要の措置を取ることができる。空対空ミサイルを発射することも含め武器を使用できる」という見解を示しました。

気球の“戦闘機”撃墜は難しいのか?ということについて、明海大学・小谷哲男教授は「戦闘機は“高速で動く”“硬い物体”に対して攻撃にするため製造されているので、空中で浮遊している柔らかい物体に照準を合わせるのは設計上難しい」と述べています。また、米空軍最新鋭機のF22に比べて、日本の主力戦闘機「F15」だとどのようになるかについて、今回、アメリカでF22によって、撃墜された気球は、1万8000mのあたりを浮遊していました。ところが、日本のF15の最高飛行高度は、1万5000mです。こうしたことから、小谷教授は「自機より高い位置への攻撃というのは限界がある」との見解です。一方のアメリカは、F22という機体の最高飛行高度は、1万8000mまでなので、気球を撃墜することができたわけです。ですので日本では、物理的に気球の撃墜は難しいかもしれません。