■DNA鑑定できない可能性も 元刑事ら「不可解な点」

ただ、捜査関係者は骨だけでは人物を特定できない可能性を指摘します。

捜査関係者
「今回見つかったのは頭蓋骨の後頭部の一部で、肉片などが残っていなければDNA鑑定ができない可能性もある」

DNAが細胞などの組織に残っていないと鑑定はできないというのです。

私たちは、元大阪府警で刑事だった中島正純氏と現地を取材しました。これまで8回ほど、現場を調査したといいます。 


元大阪府警刑事 中島正純氏
「このT字路を美咲ちゃんは左の方に行った」

山本キャスター
「(左の)橋の方に歩いて行った?」

元大阪府警刑事 中島氏
「そうですね」

山本キャスター
「しかし、今回人の骨が見つかったのは反対(右)側」

元大阪府警刑事 中島氏
「(骨が見つかったのは)反対側。距離もここから500~600メートルも向こうだということです」

美咲さんが向かったのは西にある沢でした。一方、骨の発見現場はキャンプ場から東に直線距離で600メートル程行った地点です。

母親のとも子さんは、骨は“美咲さんのものではない”と考えています。

美咲さんの母
「私としては娘が無事に戻ってくると信じているので(鑑定)結果を待つだけ」

骨は山道脇の人目につきやすい場所にあったといいます。中島氏は“後頭部の一部だけ見つかった点”に、不可解な点があると話します。

元大阪府警刑事 中島氏
「普通なら頭蓋骨そのままの形で残っている。のべ1700人態勢で捜索していた時には林道脇にご遺体のようなものはなかった。何らかの形で後から置かれたものだと」

中島氏は“別の場所にあった骨を人か動物かが運んできた”と推測します。

民間の山岳捜索会社で活動し、現地入りしたことがある三苫育氏も“骨はもともと別の場所にあった”と考えています。


民間山岳捜索会社 三苫さん
「雨とかで移動してきたのであれば、地形を見れば上流部、その辺を探せば他の遺留品も出てくるはずなので。それほど水がたくさん流れていない斜面に、忽然と破片だけ転がってるっていう何かちょっと変な感じがしますよね」

4月27日午後4時、骨が見つかってから2日目の捜索が終了しました。他の骨や遺留品は見つからなかったということです。

■美咲さんの母「戻ると信じる」

美咲さんのお気に入りだった名前入りのランドセル。使ったのはわずか半年でした。

家族の時間はあの日から止まってしまいました。

小川キャスター
(2021年8月美咲さんの自宅)
「こちらはお年玉ですか?」


母・とも子さん
「そうですね。直接手渡せていない2年分のお年玉を、自分で開けてもらおうと思って」

母・とも子さんは山梨県に通いながら情報提供を呼び掛け続けています。

2019年12月 母・とも子さん
「口の横にあるホクロが特徴の子なので、ご近所の方とかお友達にも(情報提供の)声をかけていただけたらありがたいです」

行方不明から約2年が経った2021年8月、とも子さんは新しいチラシを持って道の駅を訪ねました。新しいチラシには髪の長い美咲さんの写真が入っています。


母・とも子さん
「2年近く経つので髪の毛が伸びていることも予想しまして写真を増やしました」

これまで警察に4000件以上の情報提供がありましたが、有力な手掛かりはありません。家族の時間が再び動き出すことを信じて美咲さんの帰りを待っています。

4月26日 母・とも子さん
「(今回)ニュースを見て思い出していただけた方がいらっしゃるのであれば、また情報をお寄せいただいて見つかるためのきっかけにしたい」

山梨県警は28日も約40人態勢で捜索を行う予定で、母・とも子さんも現場を確認するため道志村を訪れるということです。

山梨県警大月警察署
0554-22-0110