「ボス」渡辺容疑者との接点は

報道特集は2020年12月、収容所内から日本に向けて特殊詐欺が行われていたことなどを放送。その半年後、渡辺優樹容疑者が収容された。当時のメンバーによると、渡辺容疑者は「ボス」と呼ばれ、今村容疑者の地元・札幌での友人だという。

収容所内に残り続けた、指示役の2人。その理由を内部告発者はこう説明する

「日本に帰りたくないので、フィリピンで知人に告訴をしてもらうのです。告訴されるとその事件が解決するまでは、強制送還されません」

今村容疑者・渡邊容疑者を指示役とするグループの仲間は、収容所の外でも犯罪行為をしていた。

フィリピン在住の日本人男性は2年前、メンバーに騙されて電話の「かけ子」をやらされたが、すきを見て1週間後に逃走したという。男性は指示された内容をノートに書きとっていた。

“かけ子”をさせられた男性「ちゃんと人数から何から全部、こう言え、ああ言えというのがある」

グループの拠点は、メンバーの1人が所有していたマニラにあるコンドミニアムの12階だった。

このグループのリーダーはソファのある部屋にいる男と女。男が日本で被害者のもとをたずねていく仲間との連絡役をしていた。

“かけ子”をさせられた男性
「『今、何番地の何番地。ここで行ったら?』と。携帯は常にあいたまま、切らないで」

ーーずっとつながりっぱなし?
「そうです」

ーーそのひとたちが被害者と接触しているところも?
「ええ」

ーーずっと指示を出している?
「そうです。お客が不審がったりなんかしたら、すぐこいつ(男)がそこはいいから逃げろと指示を出す」

さらにその際、こんな言葉を何度も耳にしたという。

「すぐ“叩け”とかなんとか言ってました。(キャッシュ)カード盗ったら、すぐ“叩け”と」

ーー『叩く』『叩き』というのは、『強盗をする』という意味。
「本当におそろしい。ターゲットにしているのは全部年寄りですからね」