おととし、石川県野々市市の女子中学生がいじめを苦に自殺したとされる問題で、市の教育委員会が設置した第三者委員会は2日、報告書を公表し、同級生から受けたいじめが自殺の原因になったと結論付けました。一方、女子生徒の父親は、教職員の対応をめぐり追加の調査を求めました。

この問題は、野々市の市立中学校1年の女子生徒が、学校が実施したアンケートで「友達から悪口を言われるなどのいじめを受けた」と答えていたにも関わらず、学校側が市の教育育委員会に対し「いじめは解消した」と報告していたもので、女子生徒はおととし2月に自宅で自殺しました。

市の教育委員会が設置した第三者委員会は2日、報告書を公表しました。この中で、女子生徒が同級生に陰口を言われたり、合唱コンクールの打ち上げの話をするためのLINEグループから外されるなど、およそ半年間にわたって29の行為がいじめに該当すると判断しました。そして女子生徒が多大な心理的苦痛を受け、学校のアンケートにいじめを申告したものの、状況が改善されず、自殺したと結論付けました。
調査委員会委員長の田中和樹弁護士は「いじめは特定の生徒ではなく、入れ替わり立ち替わり行われていた。いじめを受けていた人にしては、ずっといじめを受け続けている感覚。孤立化に向かい、援助を求める声も届かず、いじめがなくならなかった」と指摘しました。
調査委員会の会見後、野々市市教育委員会の大久保邦彦教育長は「ご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げる」と陳謝しました。市によりますと、29件のいじめ行為のうち、教育委員会に報告があったのは1件だけで、いじめを把握できていなかったとしました。
一方、亡くなった女子生徒の父親も2日午後6時ごろから会見を開き、学校や教職員の対応について追加の調査を求めました。

父親は「教師たちへの追及に関する部分が非常に甘い。なぜ隠ぺいを行ったのか、調査をしてもらいたい。この報告書にもある程度書かれているが、まだまだ教師たちの不誠実でいい加減で、教師としても人間としても失格な対応が書いてありません」と述べました。
市は3日、保護者に向けて説明会を開くことにしています。