石川・七尾市内の農業用水やポンプを管理する組合をめぐり、1184万円に上る使途不明金が明らかとなりました。組合は、運営費を私的に流用したとして、元理事で50代の県職員を12月開いた臨時総会で解任しています。
Q 悪いことをしたと思うか?
県職員・A氏
「悪いことというよりは、事業を全部任されたことで一杯一杯になってわからなくなったというのが正直なところ」
MROの取材に対して、このように答えたのは50代の県職員“A氏”です。
A氏が去年12月まで理事兼会計担当を務めていた七尾市大津町の「大津農業給水組合」では、去年までの9年間で運営費およそ1184万円の使い道がわからなくなっています。

この組合では、農業用の給水ポンプや草刈りの費用を組合員の負担金や町会の補助金で賄っています。しかし、A氏が会計担当を務めた2014年以降、各年度の収支報告書と、通帳の金額・領収書が一致していないことが明らかになりました。
Q 領収書を残さなかった理由は?
A氏
「(組合員の)了解を得てないのが1つ、わからなくなってしまった原因です」
A氏は農地や水路を保全する国の事業で交付金を受け取るため、8年前に「大津町農地組合」を立ち上げていてその代表も務めています。給水組合によりますと、毎年行われる監査のチェックで不正が明らかにならないよう、2つの組合の口座間で入出金を繰り返していたということです。

農地組合の口座から引き出された金額については、今回、使途不明となっている1184万円に含まれていません。12月、新たに給水組合の会計担当に就いた男性は…。
「1番大きな時で200万円が1回で引き出されている。組合は年間収入で200万円の事業規模なので、1184万円は単純に6年分」(現在の会計担当※給水組合)
Q 6年分の運営費は何に使われた?
「わかりません」(現在の会計担当※給水組合)

この問題をめぐり29日、町民を集めて臨時の総会が開かれました。総会に参加したA氏は、町民らに対し「町を騒がせ迷惑をかけた」と謝罪し、国の事業のために運営費を使ったと説明したということです。しかし…。
「(監査では)電気柵の管理やイノシシのおりの管理、あとは事務手数料で頂いたという説明だったので…直接(国の)事業に対してこう使ったという説明は、監査と大きく異なる」(現在の会計担当※給水組合)
総会に参加した町民は「まあ情けない、一町民として情けない。今後の対応やわな、どう責任取ってもらうか…」と話し、肩を落とします。
A氏「働かなくては返せませんから、働くことを前提に返したい」
組合は12月、A氏を理事兼会計担当から解任していて、町民の総意を汲みながら示談に向けて調査を進めています。

この問題をめぐってA氏は29日の臨時総会で町民に対して釈明し、全額を返済する意思を示したということです。この一方、運営費はあくまで「農地や水路の保全のために使った」と主張していて、私的に流用していたのではないかという指摘については一貫して否定しています。
町内では「お金が返ってくるなら穏便に済ませたい」と話す人もいますが、使い道によってはお咎めなしでは済まされないかもしれません。