ロシアのウクライナ侵略から11カ月。ウクライナ側の必死の抵抗が続き南部ヘルソン市のように奪還した地域もある。しかし今、ロシア側が再び攻勢をかけ陥落しかかっている場所がある。
東部のバフムト。この最前線の地にボランティアとして住民をサポートしている日本人がいた。田井中嵩雄さん(35)。去年5月にウクライナに入りボランティアとして住民のために避難所を整備したり、食料を配ったりしている。これまでバフムトは民間軍事会社ワグネルが集めた元受刑者などの兵士が中心になって攻めていたが、いまロシアの精鋭部隊が増え、ウクライナ側は押し込まれつつあるという。
毎日やまない砲撃の中、なぜ彼はその地にとどまっているのか聞いた。
「本当に危ない場所に行かないと本当に助けを求めている人はいない」

最前線でボランティア活動を行う田井中さん。高校卒業後、上京し7年間、料理の世界で働いた後、経営コンサルタントをしていたという。
しかし去年5月、ウクライナの人の現状をテレビなどで見て、いてもたってもいられなくなりキーウに入った。彼が活動しているのはハリコフやザポリージャ、ドネツク州のクラマトルスクなどいずれも激戦地。去年12月からは、最悪の戦場と言われるバフムトの避難所で、住民たちを助けているという。いまは連日、午前8時から午後3時頃まで食事や衣類を提供。シャワールームなども設置をしてるという。

田井中嵩雄さん「電気に関して、発電機をもう何台も持ち込んで、ガソリンをバフムトの外から持ってきて、電気を通す工事。発電機から線を通してこなきゃいけないので、それを入れるようなこともやって電気を使っています。水に関しては、もう全く無い。水・電気・ガス・通信に関しては、この4つのインフラ全て無い。ウクライナ軍が時々運んでくるもので、しのいでいます」
外務省からウクライナ全土に対し退避勧告が発出されているのにも関わらず、なぜ危険な場所に自らの身を置くのか尋ねると、彼は単純だと言った。

田井中嵩雄さん「本当に危ない場所に行かないと、本当に助けを求めている人はいない。いないというか、そこに行かないと助けられない。『命をかけないと、命は助けられない』というのは僕の中にあったのでバフムトに来ています」