企業からも「体調崩した場合も対応可能」「採用の幅が広がる」と期待の声

「週20時間未満」で働く障害者が雇用率に算定できるようになることに、企業からも「障害者のさらなる雇用につながる」という期待の声があがっている。
古田土会計では、これまでにも精神障害者の社員が体調を崩した場合に勤務時間を削って対応するケースがあったという。その際、週20時間のラインを切ることもあった。離職を防ぐために会社として時間をかけて手厚くフォローする必要があるにもかかわらず、これまでは雇用率に算定できなくなっていた。そのような矛盾が今回の制度改革で解消されると話す。さらに採用にも良い影響があるという。

古田土会計 障害者雇用 採用担当 十河寿寛部長
「法律の制度でハードルが下がることになるのでもっと採用できる障害者の幅、裾野が広がる。企業側としても色んな人にアプローチできるのでメリットがある

古田土会計では、障害者雇用で働く人は“会社の貴重な戦力”だと話す。

十河寿寛部長
「人不足という中で障害者の方は本当に戦力。仕事の中身によっては障害者の方が向いているものもある。例えば、精神障害者の中にはとても集中力が高く、曖昧なことが苦手でチェック業務などに向いている人もいる。適材適所で輝けるところがあると思うので、そういうところをいかに企業側が切り出してお願いしていくかが重要」

支援団体「雇用率ありき」の懸念も 「キャリアアップにつながる運用を」

NPO法人 WEL'S 橋本一豊理事長

一方、障害者雇用の支援団体からは「雇用率ありきの就職が増えるのでは」との懸念の声もきかれる。

NPO法人 WEL'S 橋本一豊理事長
「仕事が準備できなくても雇用率を達成するために雇用し、その人が戦力として働くための環境がないままに進められることが心配。障害のあるなしにかかわらず、その人の持っている力を伸ばしていくことが社会にとって良い影響だが、それが時間や雇用率で伸ばせないというのはもったいない」

制度の開始は2024年4月から 同時に法定雇用率も引き上げへ

制度は2024年4月から始まる予定。また、精神障害者などを中心に企業で働く意欲を持つ人が増えているため、厚労省は企業の法定雇用率を2.3%から2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%に引き上げることを決めた。
さらなる雇用の広がりが期待されるが、障害者が自分らしく働けるように「数」ではなく、「質」を重視した雇用が進むことが求められる