参入障壁の高さと新たなビジネスチャンス
野村:東京駅や空港などの一等地は家賃も高そうですが、そこでの争いも熾烈ですよね。
comugi:高い家賃を払えるだけ売れなければいけません。実はコロナ禍の2021年3月期、外出する人が減り、寿スピリッツは売上が半減して約28.9億円の営業赤字を出しました。なぜ巨額の赤字が出たかというと、その「場所」を維持しなければならなかったからです。
野村:一度手放すと、他の会社に取られて二度と戻れないからですね。
comugi:百貨店の1階にラグジュアリーブランドが入っているのと同じで、一等地はお金を払えば買えるものではなく、「格」が重視されます。長い歴史で培った信用が必要ですし、お土産は「そこでしか買えない」ことが価値になります。寿スピリッツが手がけるブランドにはECサイトをやっているものもありますが、実店舗が閉まった夜の時間帯だけ数量限定で販売するという売り方をして、希少価値を保つ工夫もあります。
野村:新規参入が難しそうな市場ですが、新しい切り口はあるのでしょうか。
comugi:最近面白いと思ったのが、元放送作家の鈴木おさむさんが立ち上げたベンチャーキャピタルが、お土産のスタートアップに投資した事例です。溶けづらい技術を使ったアイスクリームで、「江ノ島」や「浅草」といった漢字の形をしているんです。
観光地にある文字のモニュメントの前で写真を撮るカルチャーがありますが、このアイスと一緒に写真を撮れば、どこに行ったか一目で分かります。漢字をIP(知的財産)として捉えた、非常に計算されたお土産ビジネスです。お土産は「ここに行ってきたんですね」という会話のきっかけを作る商品価値があります。このお土産から生まれる体験価値のような発想は、意外と学びが多いように思えます。
<聞き手・野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。
<東京ビジネスハブ>
TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。














