「惜しい」に、お金を払っている

最後に、あと少しで落ちなかった瞬間の話に戻ります。イギリスのケンブリッジ大学の実験心理学の研究者たちが、簡単なスロットマシンで実験したところ、自分で絵柄を選べる場合には、あと一歩で外れる「惜しい」結果は、大外れよりも不快なのに、もう一回やりたいという気持ちを強めていました。ただし、カナダのウォータールー大学でスクラッチくじを使って調べた実験では、気持ちは強くなっても、実際に買い足す人が増えたとは確認できませんでした。気持ちが高まることと、お金を使うことは別なのです。

それでも、クレーンゲームには、自分の腕で手が届きそうに見える「惜しい」があります。あと少しだったのだから、腕を上げれば取れるかもしれない。8,000円を使った帰り道、筆者が「また行ってもいいな」と思ったのも、その「惜しい」のせいでした。

お客さんの腕と、お店の設定と、景品の魅力。クレーンゲームは、その3つの組み合わせでできています。私たちがお金を払っているのは、景品そのものだけでなく、「次は取れるかもしれない」という気持ちなのかもしれません。

<コムギコ:資本主義をハックしろ!!>
毎日ニュースを100本を読むビジネス系VTuberのリサーチャーであるコムギ(comugi)が、日々の経済にまつわるニュースを解説するビデオポッドキャスト。本記事は2026年9月28日配信『人生は、運か実力か。なぜ人生ゲームは全員が最後まで遊べて、モノポリーは1人しか勝てないのか?』から抜粋してまとめたものです。