4期目を目指す習氏にとっての「最重要課題」
さて、肝心の習近平主席の健康問題ですが、実際のところはどうなのでしょう。73歳という年齢を普通に考えれば、身体のどこかが不正常になっても不思議ではありません。
ワシントン郊外の空軍基地に到着した特別機(B-747型機)の高さ約5メートルのドアから、習主席は左手を脇の夫人とつなぎ、もう片方の右手で手すりを持ちながらタラップを降りました。傾斜が急な階段をゆっくり降りましたが、足取りがおぼつかないということはありませんでした。
ワシントン滞在の3日間、予定通りスケジュールをこなし、公開された映像や写真を見る限り、健康上の大きな問題を抱えているようには見えませんでした。インド訪問を前に、同じ9月に中央アジアのキルギスやエジプトを歴訪しています。健康不安があれば、外遊はしないでしょう。
中国のトップの健康状態は、まさにトップシークレットです。そして、最高水準を持つ特別な医療チームが健康状態をチェックしています。だから、習主席の健康問題の本当のところは我々外部の者にはわかりません。ただ、世界中に見せつけた国賓としてのアメリカ訪問に、健康問題を抱えたまま出発するとは考えにくいでしょう。
一方で、今回はデマが判明したケースとは別に、習近平氏の健康に関する情報は繰り返し流れます。それもあり、中国研究者やウオッチャーが習主席の一挙手一投足を注視するのです。
帰国してちょうど1か月後には、中国共産党の重要会議の開催がすでに予告されています。それは1年後に開く、5年に一度の共産党大会につながります。そして権力維持に執念を燃やす習近平氏は、4期目の任期入り、つまり任期を全うすれば計20年の長期政権を目指しています。健康は、習近平氏自身にとって、ある意味で最重要課題と言えるかもしれません。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。














