科学が解き明かす「フルーティーな香り」のメカニズム
なぜ、麹を育てる時間を短くすると、果物のような香りが強くなるのか。
その秘密は「酵素」と「アミノ酸」の働きにある。
麹の酵素には、でんぷんを糖に変えるだけでなく、原料のタンパク質を分解するものもある。
製麹を19時間で止めた「盛り麹」は、通常の43時間培養した「出麹」と比較して、このタンパク質を分解する酵素の働きが弱く、発酵中の「もろみ」に含まれるアミノ酸の濃度も低く抑えられることがわかった。
この「アミノ酸が少ない環境」が、酵母による香り成分の生成プロセスに変化をもたらし、フルーティーな香りの元になる成分を多く作っていた。

研究室で、麹米140グラム、サツマイモ700グラムでの実験を行い分析した結果、「盛り麹(19時間)」を用いた芋焼酎では、バナナを思わせる香り成分「酢酸イソアミル」が1リットル当たり6.6ミリグラムとなり、通常の「出麹(43時間)」の2.4ミリグラムと比較して約2.8倍に増加していることが実証された。
他にも、未完成の麹を使ったもののほうが、バラやフルーツのような香りを持つ「酢酸フェネチル」や、ブドウのような香りを持つ「カプリン酸エチル」なども増加していることが確認された。
14人による官能評価=人の感覚を用いた評価でも、盛り麹や仲仕事麹を使った焼酎で、バナナやリンゴのような香りが強く感じられる傾向があったという。














