開幕したアジア最大のスポーツの祭典、第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)は2年後の2028年ロサンゼルス・オリンピックの予選を兼ねる競技がある。サーフィン、アーチェリー、トライアスロン等に加え、ロサンゼルスでオリンピック初登場となる「スカッシュ」も23日から競技が始まり、男女の個人金メダリストに出場枠が与えられる。

日本からは男女8選手が出場するが、注目は前回の23年杭州大会女子個人銅メダルで、7月時点の世界ランキング6位の渡邉聡美(27)だ。8歳から競技を始め、マレーシア、イギリスに留学して腕を磨いた彼女は、昨年の非オリンピック競技が集まったワールドゲームスで優勝。国際大会では世界ランキング1位のエジプト選手に勝利するなど、調子を上げている。母国でロサンゼルスの切符を手にする好機を活かせるのか。期待が集まる。

そもそもスカッシュは19世紀のロンドンから始まったとされ、「押しつぶす」「潰れる」という意味の「squash」が語源。ラケットで打った時にボールが潰れることから名づけられた。当初は刑務所内の囚人たちが壁打ちをする遊びだったという。それが名門男子校でゴムのボールを使う現在の形が誕生し、イギリスからインド、エジプト、豪州、米国などを経て世界へ広まった。コートがテニスの約4分の1で済む土地利用効率から都市型のスタイリッシュなスポーツとして現在は世界180を超える国・地域に約2千万人の愛好者がいると言われる。

ルールは四方の壁を使いながら正面の壁の上限であるアウトラインと「ティン」と呼ばれる下限の部分の間にボールを打ち返していく。床に2バウンドする前にノーバウンドかワンバウンドで打つのはテニスと同じだが、違うのはオンライン(線上)にかかったボールがアウトになることだ。

何より、主なラケット競技はネットを挟んでの対面がほとんどだが、スカッシュは壁に向かって個人の場合は2人が前後、左右に位置する。お互いの息遣いが感じられる縦9.75m、横6.4mの狭いコートの中で、最速で時速約200kmのスピード感、「3次元ビリヤード」「壁のチェス」等と呼ばれる戦術性、そして男子プロでは1試合1500kcalを使うとされる持久力を競う。1点を争うラリーが50回近く続くこともある。

「サービスエースで決まることがほとんどないので、頭と体の両方で上回らないと勝てない。昔は今のラリーポイント制(サーブ権に関係なく得点)ではなく、ハンドアウト制(サーブ権のある方のみが得点)だった。2時間近い試合もあり、『終わったら病院にいかなきゃ』ということも」と笑うのは、女子の全日本選手権で歴代2位の7度優勝した宮城島真知子さん(73)だ。元日本協会常務理事で、1979年には日本選手で初めて海外大会で優勝を飾った。