残されている課題

ファクトチェックは事実検証(正誤検証)であるわけで、報道機関が日常からしている番組や記事を作る上での日常的作業そのものである。真実性・正確性の評価・判定というジャーナリズムの基本である「リアリティ・チェック」そのものであるからだ。

したがって、それ自体は目新しいものではないものの、すでに触れたように「事実報道」が報道の基本であるなかで、事実でないもの、あるいは根拠が不明で正誤の判断がつかないものを報じるという経験が、これまではほとんどなかったことは間違いない。しかも、結論のみならずそこに至る根拠を明らかにするということは、取材過程の開示でもあるわけで、こうした経験も少なかったことが窺われる。

さらに選挙期間中のファクトチェックは、1週間から2週間という極めて限られた時間的制約の中で、正誤判断をしなくてはいけないという問題と、報道機関あげての総力戦で取材態勢を組んで臨む選挙取材のなかで人的な制約も大きな課題だ。こうした物理的な条件をいかにクリアし、従来の選挙報道に工夫を加えていくかが問われることになる。ある意味では、あらかじめ人員配置を決めた取材日程など、綿密なスケジュール取材であった選挙戦報道を変更する必要があるわけだ。

しかしこの間の実践で経験値も上がり、あえて結論を示すことなく判断根拠になりうるデータを示すなど、さまざまな報じ方によってプレス・ファクトチェックが「当たり前」に行われつつある。そのなかで「フェイク≒うそ」については、おおよそ以下の4つに分けることを行ってきている。

(1)明らかな嘘(虚偽)=事実関係明白
(2)ほぼ間違いなく嘘=事実証明不可能・困難
(3)嘘の可能性高い=事実の可能性は低い
(4)怪しい情報=不確かな事実

これは従来の広義の誤報の判断基準である、「捏造」=ゼロから有を作り出す、「虚偽」=シロをクロにすり替える、「誇大」=1を10に膨らませる針小棒大、「誤報」=一部虚偽が含まれる、「誤導」=虚偽はないが誤解を招く、「結果誤り」=発表時は事実と信じるに十分な理由があったが結果的には誤りであった――に通ずるものがある。