沖縄の挑戦
時計の針を2018年まで戻し、沖縄の話をしたい。世の中にファクトチェックという言葉が出始めるなか、選挙期間中のファクトチェックにトライする社も現れた。2018年沖縄県知事選における沖縄タイムスと琉球新報の沖縄地元紙だ。
その前年の名護市長選において、当時の現役市長を誹謗中傷するデマがネットで拡散し、それが口コミ等でも広がり、選挙後の調査でも投票行動に一定の影響を与えたとの見方があったことから、デマを看過できないとの「危機感」が地元メディアに強くあったことが、実現に大きく作用したと思われる。今日に続く、選挙期間中の「プレス・ファクトチェック」の始まりである。
その特徴として、沖縄タイムスは「クロ判定型」で正しい事実関係を指摘する方法をとり、協力先として法政大学社会学部の藤代裕之研究室+国際ファクトチェックネットワーク IFCNを選択した。一方で琉球新報は「アラーム型」で虚偽の書き込みを指摘(候補者名を明記せず)する方法をとり、協力先としてファクトチェック・イニシアチブ(FIJ)を選択した。このどちらの手法が「正しい」かの正解はなく、まさにファクトチェックの方法は色々ある、ということをまず確認しておく必要がある。
具体的に当時の記事を見ると、琉球新報の「ファクトチェック(フェイク監視)」は、知事選世論調査(9/8)、沖縄振興一括交付金(9/21、続報9/27)、安室さん特定候補者支援(9/24)、携帯電話料金削減公約(9/25)の5本で、このほかに、「ツイッター分析」も実施し、選挙後も「ファクトチェック」のワッペンを今日まで継続してきている。
今回の県知事選では、ほぼ連日、しかも具体的な候補名を出して報道しているのと比較すると、わずか8年前にもかかわらず隔世の感がある(特定候補を利さないようにという断り書きを紙面上で発表、名前を伏せていた)。ちなみに、2018年当時に東京と沖縄でファクトチェックをいち早く手がけた2人が、いま責任者として同紙のプレス・ファクトチェックを牽引している。
一方で沖縄タイムスの「偽ニュース調査」は、候補者政策の文字数(9/27)、翁長元知事の言動(9/27)、佐喜眞候補の市長実績(9/27)と、約70本の収集情報から17本を検証対象にし、ネット上では追検証のためリンク先や画像も掲載した。12人で取材チームを結成と報じている。こちらも今回の知事選では連日、ファクトチェック記事を掲載している。
こうした沖縄紙の取り組みに追随するような動きも出てきた。今回、NHKが知事選の期間中に個別候補についての「正誤」情報を出したのも、おそらく初めてのことであったと思う。2026年9月9日のウェブ配信記事では、「沖縄県知事選挙 候補者のフェイク相次ぐ 生成AIの偽動画も」の見出しのもとで、玉城デニー・古謝玄太両候補についての中傷生成AI動画や偽画像が広がっていることを指摘。また、YouTubeにおいて偏った内容の動画が多いとの注意喚起を行った。














