安全な製品設計を促すインセンティブを

むしろ憲法的にも推奨されるのは、一律で上乗せ年齢制限を行い、こどもたちをソーシャルメディアから追い出すことではなく、いかにして青少年にとって安全な製品・サービス設計を事業者に促すか、ということになるでしょう。

例えば、先ほどのアメリカの州レベルの規制でいえば、カリフォルニア州の「ソーシャルメディア依存から児童を保護する法律(Protecting Our Kids from Social Media Addiction Act)」は非常に興味深い規制内容となっています。

この州法では、レコメンド・アルゴリズムのパーソナライズ・フィードを「依存的フィード(Addictive feed)」と定め、青少年に保護者の同意なく依存的フィードを提供することを禁止する、一定の時間帯にはプッシュ通知の送信を禁止する、フィードのデフォルト設定を依存的フィードにしないように義務付ける、同じくデフォルト設定としてプライベートモードの提供を義務付けるといった規制を導入しています。

重要な点として、これらは、極力、コンテンツ(UGC=User Generated Content)の内容に触れないよう、サービス設計に焦点を当てた規制となっており、アメリカにおける表現の自由の厳格な違憲審査を回避するように作られています(同法は、修正一条違反の疑いで現在係争中であり、違憲の可能性が高いとして一部の規定については施行の差止が行われましたが、主要な規定は生き残っています)。

もっとも、自社のサービス設計が、青少年に対してどのようなリスクを孕むのかは、政府よりも多くのデータを有している事業者側が精通していますし、加えて、どのようなサービス設計にすればリスクを軽減できるのかも、政府よりも事業者側にノウハウがあるでしょう。

現時点ではまったく想定していない新たなサービスや機能がソーシャルメディアに組み込まれる可能性も十二分にあり、政府が特定の設計を制限する方法には限界があるともいえます。この点、青少年の安全配慮設計を促す手法としては、EUなどが採用するリスク評価・軽減措置の仕組みが有効とも考えられます。

先の第一次報告書では、「各事業者に対し、サービスのリスクの評価と、当該リスクに対応する青少年保護措置、必要なリテラシー等の実施・公表を求めるべきではないか」(44頁)と記載されているところです。

特に、事業者が一定の保護措置を機能として用意していたとしても、それがデフォルト設定になっているかどうかが肝要になります。というのも、多くの場合に、ユーザーはサービスをデフォルト設定のまま利用するためです。この点についても報告書では、「保護措置の設定は複雑であり、実効性の観点から、利用者が青少年であることが確認された場合には、初期設定において保護措置が機能することが適切ではないか」(47頁)と指摘しています。