東京23区の新築戸建ての平均価格が1億円を超えるなど、不動産価格の高騰が止まりません。それに伴い、新築住宅の面積は1970年代の水準にまで縮小し、「住宅版ステルス値上げ」とも呼べる現象が起きています。しかし、この限られた空間を有効活用する「スペースパフォーマンス(スペパ)」への関心が、今、新たなビジネスを生み出しつつあります。なぜ住宅の狭小化が進んでいるのか。そして、その制約を逆手に取った「スペパ」はどのようなビジネスチャンスを秘めているのか。リサーチャーのcomugiさんの分析を交えながら、最新の住宅事情とビジネスの最前線に迫ります。

東京ビジネスハブ

TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は2026年8月9日の配信「狭小住宅こそ_スペパ_!不動産高騰をビジネスに変える方法(comugi)」 を抜粋してお届けします。

1億円超えの不動産高騰と、縮みゆく住宅の「ステルス値上げ」

野村:現在、東京23区の新築戸建ての価格が2026年の1~2月平均で初の1億円を超え、マンションだけでなく戸建ても高騰しています。一体何が起きているのでしょうか。

comugi:とにかく高いですよね。特に首都圏では、共働きの「パワーカップル」がペアローンでリスクを負担しないと買えないような価格になってしまっています。さらに、金利も上昇のタイミングに入り、ビジネスパーソンにとって夢のマイホームが遠のいているのが現状です。その背景のひとつが、供給戸数の圧倒的な減少です。少し前のデータになりますが、2024年の首都圏新築マンション供給戸数は2万3003戸と、1973年以来の過去最少水準となっています。

野村:土地の不足や建築費の高騰など、色々な事情が重なっているのですね。人口で見ても、他の道府県が減る中、東京だけは増え続けていますし。

comugi:需要が変わらないのに供給が減れば、当然価格は上がります。それに加えて今話題になっているのが、住宅の面積がどんどん狭くなっているということです。国土交通省の統計によると、2025年の新築1戸あたりの平均床面積は約76.8平方メートル。これは1970年代前半並みの狭さです。ある専門家はこれを「住宅版ステルス値上げ」と表現しています。

野村:1970年代というと、日本の住宅が諸外国から「ウサギ小屋」と揶揄されていた時代ですよね。その時代の狭さに、今また戻ってきていると。

comugi:そうなのです。不動産側も割高になりすぎた物件をどう提供するか工夫していて、最近増えているのが「定期借地権付きマンション」です。期限が来たら建物を壊して更地にして地主に返す仕組みで、2026年竣工予定の定借マンションは全国で4808戸と、前年比で6倍に急増し、過去最多を記録しています。

野村:消費者からすると苦肉の策のようにも感じますが、安く住めるように調整しているのですね。

comugi:消費者側の価値観も変化しています。「所有」にこだわるのではなく、自分が暮らしていく50年、70年という「時間を買う」感覚が一般的になってきているのです。