「その道を選ばなくて良かった」変化する遺族の思い

事件から11年が経った2022年7月の追悼式典。式典の後、私たちはストーレ首相に対し、今後も刑務所の寛容な処遇を続けるのか聞いた。

ノルウェー ストーレ首相
「受刑者の人権だけでなく公共の安全のためにも自分を管理できる人を出所させる必要があります。『憎しみより愛』『オープンな社会』『民主主義』はこれからも大切です」
これまで、寛容な処遇や社会のあり方が成果を挙げてきたという。ストーレ首相は、ブレイビク受刑者の存在で、それを変えることはないと断言した。
事件の被害者は今、どう思っているのか。事件の生存者は、ノルウェーが寛容さを失ってしまえば、それはブレイビク受刑者が望む社会になってしまうという。

ミリアム・アイナンスハウグさん(28)
「ブレイビク受刑者に負けたくないんです。憎悪がどれほど危険をもたらすかをあの事件で目の当たりにしました。憎しみをもたないことが大切です」
娘を失ったリスべスさん。遺族会の代表として活動してきた。事件後「犯人を殺したい」とまで考えていたが、社会が寛容さを失わなかったことに、今は安堵しているという。娘のシンネさんも「同じだと思う」と語った。

リスベスさん
「シンネは私をいつも見守ってくれています。気配りができ正義感が強く、思いやりがある子でした。私が誇りに思う娘でした」
「『ブレイビク受刑者を殺してしまおう』と言いたくなるのは当然です。でもその道を選ばなくてよかったです」














