2021年東京オリンピックのカヌー・スラローム。男子カナディアンシングル決勝で10位に終わった羽根田卓也(34)は競技終了後、涙を流していた。

羽根田(東京オリンピック、決勝後)
「応援してもらっている以上は弱音を吐くなんて許されないと思ったから・・・。ただ前を向いて、みんなから求められていることっていうのを自分の生き様に通して、今日この日に全てをぶつけられるように過ごしてきました」

お寺、仏像、茶道、座禅・・・自分の心と向き合う

2016年のリオオリンピックでは銅メダルを獲得。2大会連続となるメダルを逃した羽根田は、競技から距離を置き、自分の心と向き合った。

羽根田:
僕、お寺とか仏像とかそういう日本文化が大好きで、そういうところに行ってみたりだとか、茶道だとか座禅とかそういうことをやっていって、自分と向き合う時間を作ったんですよね。競技から離れた日々を送ろうと思ってました。

半年間、自問自答を重ねた末に、進むべき道ははっきり見えた。
2024年、パリ五輪までの現役続行。

羽根田:
自分の気持ちももちろん大切なんですけど、一番は周りの人たちがカヌーに乗る姿だとか、こぐ姿っていうのをやっぱり楽しみにしていてくれる。そういう声がある中で、自分がカヌーを降りるのは違うなとすごく思いました。

ファンに囲まれる羽根田選手
快挙を成し遂げたリオオリンピックから6年、自分の活躍を祈り、常に背中を押してくれた声がある。彼らがいなければ、いまの羽根田卓也はいない。

子供「ハネタクさーん」
女性ファン「かっこよくてすごく好きです」
女性ファン「元気もらっています」


羽根田:
今でもあの(東京五輪後)インタビューのことを思い出したりもするんですけど、悔し涙とかっていう涙では全然ないですね。支えてくれた人たちの顔が思い浮かんで、いろんな感情の末の涙って感じですね。ああいう涙が出るっていうことは本当に幸せですよね。

9月開催のアジア大会で3連覇へ

アジア大会代表に内定

今月17日に、東京オリンピックの会場で開催された9月のアジア大会代表選考会で優勝した羽根田は日本代表に内定した。アジア大会では2014年、2018年に2大会連続で金メダルを獲得。3連覇に向けてパドルをこぎ続ける。

羽根田:
代表に選ばれるってことは当たり前のことではないので、挑戦できる喜びをかみしめて、3連覇を達成できるように。これからしっかりトレーニングを積んで頑張っていきたいと思います。

■羽根田卓也(はねだ・たくや)
1987年7月17日生まれ、34歳。愛知県豊田市出身、ミキハウス所属。175センチ、70キロ
五輪4大会連続出場、08年北京14位、12年ロンドン7位入賞、16年リオデジャネイロ五輪銅メダル、21年東京五輪10位。アジア大会、14年韓国・仁川金メダル、18年ジャカルタ金メダル。