取材を終えて
18歳のマナさんから深夜、「オーバードーズをして、リストカットをしてしまった」と連絡をもらったとき、私はどうしたらいいのか分からず、119番することしかできなかった。
専門的な知識が無いと対処は難しいことを実感したわけだが、専門家の嶋根さんも、保護者や周りの方には、是非、専門的な知識のある相談機関とつながってほしいと言う。実は、周りの大人が支援に繋がり変わっていくことが、遠回りに見えて、少女が変わる近道だと言う。
全国各地の「精神保健福祉センター」は、オーバードーズに悩む当事者も、保護者ら周囲の人も、相談できる窓口だ。
また、薬物問題に取り組む民間の団体「八王子ダルク」は、家族のための相談所「SMILE」を開設。オンラインミーティングで、ODを繰り返す子どもがいる家族の悩みを聞き、関わり方について、アドバイスをしている。
「SMIILE」責任者 近藤あゆみさん
「一番身近で重要な環境である家族が支えられて、安心できるようになることが、ODを繰り返す本人の安心にも繋がっていく、という思いがあります。本人を何とかしよう、とする前に、家族や、私たち支援者、それから地域の大人たちが変わっていくことが大切なのかな、と思います」
マナさんから私がSOSの電話をもらったときに、強く感じたことがある。それは、マナさんには本当に頼れる大人がいないんだ、ということ。出会って2か月もたっていない私に連絡をくれたのだから…。
トー横の少女たちにODをする理由を聞いてみると、「仲間と繋がれるから」と、軽い気持ちではじめたという少女もいる。だが、よくよく聞いてみると、親からの虐待や、いじめなどの過酷な経験があって、頼れる大人もおらず、つらい気持ちを紛らわしているという少女が多い印象だ。
そしてオーバードーズをはじめると、今度は、薬代が欲しくなり、彼女たちの弱みに付け込む大人たちを相手に、「パパ活」や「売春」をしたり、大人たちに騙されて、犯罪に巻き込まれたりする少女もいる。ODを始める前も、始めてからも、少女たちは大人たちに裏切られ続けてきたのではないか。
時間をかけて、自然に、真剣に付き合っていく大人が周りにいれば、随分違うのではないか。オーバードーズから抜け出そうとしているマナさんと一緒にいて、そう思った。
取材:TBSテレビ報道局社会部 犬飼さき














