家族に痛みは見せず「大丈夫、俺は死なない」
それでも良典さんは、家族の前では「大丈夫だよ。俺は死なない」と言い続け、弱っている姿は絶対に見せなかった。
治療も頑張り、痛み止めを飲みながら仕事を続けた。
痛みで何も食べられず、横にもなれないこともあった。痛みに耐えられない時は、1人で部屋にこもった。
部屋にいる時間は少しずつ長くなっていった。
敦子さんは、ネットで面白い動画を見つけたらスマホを持って行ったり、時には自分で手品をして見せたりした。
元気づけようと「しょーもないこと」を重ねた。一瞬でも夫が笑えば良いと思った。
本当はうっとおしかったかもしれないが、そのたびに夫は全力で笑ってくれた。
そんな日が続いたある夜。
「長くないかもしれない。ごめんね」
2人きりになったとき、敦子さんにだけそう漏らした。














