純子さんは、ある日見た夢が忘れられないといいます。
「夢でこの子が走ってて、すごいと思って見ているんだけど、足を見たらこの子だけモヤがかかって分からない。他の子は分かるんですよね、ちゃんと走ってるのが。だけど、走ってる足がこの子だけ分からないっていうのはありました。私の願望だったのかな…みんなと一緒に全力疾走してるのを見てみたいって気持ちがあったのかもしれない」
(母・純子さん)
「変わらないと思ってたんですよ私は。足は歩けないけど、このままなんだと思ってたんです、20歳を超えても手は普通にそのまま。箸でちゃんとご飯を食べて細かな作業もでき、ただ歩けないだけだと思ってたんです」
拓実さんは生活介護の施設に通いながら、数年前から週2日、自宅でリハビリに励んでいます。体の緊張を緩める訓練は、今後の生活を見据えたものでもあります。
(理学療法士・高橋克昌さん)
「誰かの手を借りて、10年後も20年後も30年後も誰かと共に生活すると思う。その時に、そういえばこうしたら楽にいけたなっていうのが、少し拓実さんの頭の中に入ってたらいいなと思って」
(母・純子さん)
「体重50キロくらいかな?電信柱を抱えて引きずる感じなので、なかなか汗だくで、お風呂もなんだかんだで1時間以上かかりますね」
純子さんの脳裏から、将来への不安が消える事はありません。