水道水を信頼したうえで、飲み方が使い分けられている

日本ならではの事情も見えてきます。内閣府が2024年に行った世論調査では、ふだんの飲み水について、水道水をそのまま飲むと答えた人が39.1%、ミネラルウォーターなどを買うと答えた人が36.1%、浄水器を使うと答えた人が34.3%でした。複数回答なので、同じ人が2つも3つも選んでいます。3つの飲み方がいずれも3割台で並び、家庭のなかで併存しているということです。

同じ調査で、水道水に「すべての用途において満足」と答えた人は6割近くいます。水道水への評価は、全体として高い。そのうえで、持ち歩きやすさや、味やそのときの気分、安心感といった別の理由から、ボトルの水や浄水器も選ばれている。水道水への不信が市場をつくったというより、複数の選択肢が並んで使い分けられているのが、いまの日本の姿です。

材料の仕入れは売上の7%。配送はその3倍

この「水を買う」文化の最新のかたちが、ウォーターサーバー、つまり宅配水です。この事業の仕組みが、なかなか興味深いのです。

宅配水の大手、プレミアムウォーターホールディングスの決算を見てみます。2026年3月末時点の保有契約件数は182万件。2026年3月期の売上収益はおよそ803億円、営業利益は126億円で、営業利益率は15.7%という高収益ぶりです。

注目したいのは、費用の中身です。有価証券報告書によると、商品製品配送料は156億円あるのに対して、材料費及び商品の仕入は54億円。売上のおよそ7%にすぎません。つまりこの会社は、水やボトルなどを仕入れる金額の3倍近くを、運ぶことに使っている計算になります。水そのものは、費用の主役ではないのです。