「遺族の心は事件の日に取り残されたまま」

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「意識しないと呼吸まで止まってしまう」。深い悲しみとショックにより、事件直後の敏さんは文字通り、心身ともに極限の状態に追い詰められていました。

(堤 敏さん)
「人はよく言います、『時間が癒してくれるよ』。しかし、遺族にとって時間は癒しではありません。時間は失われたものの大きさを突きつける、突きつけ続ける存在です」

「季節が変わっても、周囲の生活が進んでも、遺族の心は事件の日に取り残されたままです」

「時間は、遺族の心を取り残すだけではなくて、時間が経つごとに現実味が増して、後悔や悔しさ、申し訳なさ、そんなものがどんどんどんどん増幅されて、自分を責めて追い込んでいく。今でも落ち込んで、沈み込んでしまうようなときがあります」

「事件後、しばらくの間は感情が麻痺してしまって『考える』っていうことができない。普段何も気にせずに、ほんとに考えずに行っていることができない。眠れない、食べれない、怒れない、泣けない。生きる気力すらなくしていました」

「体が動かない。トイレに行きたいっていうような要求や欲求までなくなってしまいます。じっと床に座り込んで、もう動けない。気づけば朝、気づけば夜っていうような日々を過ごしました」

「そうしていると、急に息が苦しくなって、『はーっ』と大きく1つ呼吸をするんです。で、そのあと、『あ、今呼吸してなかったわ』と気づくんですよ。意識しないと呼吸まで止まってしまうのかな、そう思ったこともありました。頭の中はいつも息子のことばっかり」