「地震発生から忘れられるまで、流れが見えているので…」求められる“寄り添う医療”

このクリニックでは、水も電気も通っていなかった。
夫婦でクリニックを運営する医師の上土井貴子さんは、今も多くの患者とコンタクトが取れないままだ。

10年前の地震でも被災し、2025年に補修したばかりだった。

今は自家用車から最低限の電気を引いて片付けを進めているが、診療はストップしたままだ。

しかし、助けを求めて訪れる患者は絶えない。この日も上土井さんは、車でクリニックにきた患者に対し、事情を丁寧に説明し、断った。

じょうどいクリニック 上土井貴子 医師
「私の顔を見たら安心されるんですよ。それが申し訳なくてね。多分、ずっとぐるぐるされるんですよね。ありがたいし、申し訳ない」

上土井医師はこの状況が長期化すれば、こころの健康が心配だという。

じょうどいクリニック 上土井貴子 医師
「1か月先ぐらいの時から、慢性的なメンタルストレスに入ってくる。孤独であり相談する人がいない、自分のことを知った人がいない、気にかけてくれてる人がいないとなったり」

10年前の震災を経験した熊本だからこそわかる、今後の課題があると話す。

山本恵里伽キャスター
「今皆さん直後で気を張っていらっしゃって、どうにか頑張ろうとされているけれども、しばらく経つとかなり重症な状態で来られる可能性があるわけですか」

じょうどいクリニック 上土井貴子医師
「この辺はお年寄りが多いんですね。一人でお住まいの方とか、高齢の方たちが多かったので、安心感を求めて来られると思うんですよね。病気そのものというよりは『大丈夫だよ』とか」
「熊本ってやっぱりもう2回3回を襲ってくると、不思議な極端な言い方ですけれど、(地震が)起こった時、起こる最中、復興していく時、そして忘れられる時、全ての流れが見えているので」
「今皆さん、全国から本当にありがたいと思うんですよ。救急車とか消防車とか。他県ナンバーが来ると、私たちは涙が出るくらいに『見捨てられていない』という思いがあって。でも加熱の時とだんだん去っていく時と、温度差を私たちは経験しているので。“ずっと見守ってちゃんとあなたのことわかっているし、ちゃんと見ているし、ちゃんと付き添ってるんだよ”という、寄り添う医療が必要になってくるのかもしれないですね」