AI関連銘柄の上昇が新興国市場で失速する中、AIに代わる高成長分野を探す投資家が、中国のバイオ医薬品企業に目を向けている。

ブルームバーグの新興国テクノロジー関連指数はこの1カ月に弱気相場入りした。AIブームの象徴と言えるSKハイニックスとサムスン電子の株価は、それぞれ40%、29%下落した。一方、中国の医薬品株では少なくとも10銘柄が2桁の上昇率を記録し、ヘルスケアはブルームバーグの新興国株指数で最も好調な業種となっている。

こうした資金シフトは、AI関連銘柄の割高感への警戒や、値上がりが一部のハイテク株に集中していることを反映している。

アライアンス・バーンスタインの株式部門責任者ネルソン・ユー氏は、投資家は従来のディフェンシブ銘柄に逃避するのではなく、イノベーションを原動力とする次の成長分野を探しているとみる。中国のバイオ医薬品企業は、多国籍製薬大手とのライセンス契約を通じて海外展開を進めており、投資家が求める条件に合致する投資先となっている。

ユー氏は「投資家の間でAIやAI関連投資への集中を懸念する声が強まるなか、ヘルスケアはイノベーションや長期的な成長、収益性に投資できる魅力的な分野と受け止められつつある。しかもAI相場との値動きの連動性が比較的小さい」と話す。

医薬品開発を手がける石薬創新製薬(CSPCイノベーション・ファーマシューティカル)の株価は、この1カ月で52%上昇した。RNA(リボ核酸)を利用した腎臓病治療薬の開発を進めるCSPCは最近、英アストラゼネカと契約を結んだと発表した。契約ではアストラゼネカがこの治療薬の世界での権利を取得し、最大18億ドル(約2900億円)を支払う。

この契約は、中国が世界の製薬業界に変革をもたらしていることを示す一例だ。これまで大手製薬会社は新薬の創薬を自社で行い、その後の臨床試験や製造をコストの低い事業者に委託するのが一般的だった。しかし近年は、中国企業が独自の新薬候補を開発し、海外の製薬会社がそのライセンス取得に対価を支払う例が増えている。収入源も受託業務だけでなく、新薬開発の成功そのものになりつつある。

知的財産は、欧米の製薬会社から中国に流れるのではなく、中国から欧米企業へ向かう傾向が強まっている。投資家にとっては、成長機会をテクノロジー以外にも求める理由となっている。

ナインティー・ワンのポートフォリオマネジャー、ウェンチャン・マー氏は、創薬の進め方の変化と、中国の役割拡大により、中国の製薬業界は長期にわたる構造的成長が期待できる投資先になっていると指摘する。

「中国は後発医薬品の製造国から、イノベーションをけん引する国へ転換しつつある。革新的な新薬候補やライセンス供与契約が急速に増え、投資家の関心が高まっている」と話した。

原題:Chinese Biotech Overtakes AI as Emerging-Market Growth Trade(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.