「ものの1分もかからずに5日先」AI気象モデルがもたらした進化

<気象庁気象研究所 山口宗彦室長>
「大体10年分ぐらいの精度改善がこの台頭によって一気にもたらされた。世界中の熱帯低気圧の予測のコミュニティの人が驚いているというような状況です」

気象庁はスーパーコンピュータを使って台風の予測をしています。従来の数値予測モデルの手法では「物理法則」で未来を計算していました。一方、世界中で活用が広がるAI気象モデルは「大量の過去のデータ」を使って未来を予測します。データの学習には時間がかかりますが進路予測については従来よりも精度が向上したといいます。

AI気象モデルを作るには、スーパーコンピュータに大量の過去のデータを学習させる必要があります。計算量は膨大になりますが、ひとたびAI気象モデルが完成すれば、そこに現在の大気の状態を入力値として与えると、非常にスピーディーに将来の大気の状態の結果を出力してくれます。地球全体を予測する大規模なモデルですが、例えば、5日先の予報をするのに1分もかからないというような速さで計算結果を出力します。従来の数値予測モデルだと10分、20分という単位で時間がかかっていたそうです。

山口さんは今回、従来の数値予測モデルに比べて、海外のAI気象モデルによる台風の進路予測にどれだけの精度があるのかを検証しました。結果は、1日先から5日先までの予測期間全体にわたって、AI気象モデルの方が誤差が小さくなりました。また、2日先の予測に対しての改善率は19%に達していました。