イチローさんのノックで球児たちに変化
(外野の守備練習で)
イチローさん:
声、声!声をおなかから出して。何かちょっと声が物足りないね。
なかなか元気が出ない選手たちに、イチローさんは自らノックを買ってでた。

イチローさん:
内野手希望者、おー結構いるね。
ほとんどの内野手が志願したが、始まる前から選手達は緊張気味。

イチローさん:
OK!さあ行こうか!よっしゃー!ハイ!2本目!
部員たち:よーし!
イチローさん:ラスト!
富永大輝選手(2年):ありがとうございました!
イチローさん:声でるねー。
富永選手:オシ!
イチローさん:オシ!それそれ、今の感じ覚えといてよ。
イチローさん:頑張れ!声出して。

イチローさんの元気が選手たちを変えていく。
部員たち:取れるぞ!取れるぞ!イヤー!
いつしか部員全員が声を出して一つになっていた。元気を出すことの意味をきっと彼らは肌で感じていただろう。
ノックを受けた選手:ありがとうございました!
イチローさん:いいよ、その声!
イチローさん「短い時間で何かが生まれるとしたら、もうノックしかないと、内に今まで眠っていたものが明確に出てくる。彼らも知らない自分に出会った気持ちになったのでは」
松﨑登生選手(2年):
ボールに追いつこうとする気持ちが強くなりました。
後藤悠仁選手(2年):
イチローさんのノック、1球1球を呼ぶたびにこれからの自信につながっていく感じがしました。
赤池陽選手(1年):
今まで自分で出し切れていなかったものがこれでドンドン出せるようになって、自分の中でも一段階レベルアップ出来たと思います。

イチローさん「嬉しいね。これ聞いたらこの後の彼ら気になっちゃうもんね。完全に届いてるでしょう。富士高校の子供たちはリーダーを目指しているっていうからね。いやいや、あのままじゃ、とてもリーダーになれないと思ってたけど、これ見たらその可能性あるなって。声も出るようになっているしさ、あとは自分の言葉を持ってそうな雰囲気が今、ありましたよね。それ持ってないと人を惹きつけることが出来ないからね」
学業にも重きを置く進学校の球児たちに伝えたかった思いはー。

イチローさん「野球が上手くなる、強くなる、まぁなって欲しいんですけど、そこよりもやっぱり生きていく上でこれからね、後輩を引っ張っていく上で必要なものっていうかね。野球選手よりもより人間として携えて欲しいものとか、そっちの方が僕にとっては生まれるとしたら大きいものだろうなって思っていたので、僕の想像以上、こんな気持ちになってくれていたら。泣くわ」