3月に開幕するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。侍ジャパンの栗山英樹監督(61)が招集を明言したカージナルスのラーズ・ヌートバー(25)がファン感謝イベント(日本時間16日)に参加し、WBCへの思いを語った。昨季からチームメイトや自身がホームランを打った際に行っている“胡椒挽き”を回すパフォーマンスについては「みんなが望んでくれたら、ぜひやりたいね」と笑顔を見せた。
Q:WBCで日本生まれでない選手が初めて日本チームでプレーすることについて
ヌートバー「大変名誉なことだ。本当に、本当に興奮している。当たり前のことだとは思っていない。僕らの家族にとってもちょっとクレージーなことになっているみたい。特に母(久美子さん)にとっては特別だ。本当にすごいことだ。日本代表としてプレーすることが待ち遠しい。僕にとっては特別なこと。僕はママっ子だから。だからいつも彼女のために笑顔を作ってあげられる」
Q:チームが声をかけてきたのか
ヌートバー「彼らが昨シーズンに声をかけてきた。『彼らは興味あるのか』と聞いてきた。僕はYESと言ったよ。そして、彼らは可能性を尋ねてきた。両親や私の資格についていろいろ聞かれた。正式なことがわかったのはつい最近のこと。昨シーズン中からチャンスはあると思っていたけど、あまり興奮はしたくないと思っていた。だから正式に連絡をもらった時は嬉しかった」
Q:出場にあたり、栗山監督からどんな言葉をかけられ、どう返したのか
ヌートバー「栗山監督はとても丁寧だった。(WBC後に)健康な身体でアメリカに戻り、カージナルスでのシーズンに臨めるようにすると伝えてくれた。そのことには感謝している。監督は僕のこのチームでの役割にエキサイトしていて、外野手としての貢献を望んでいるとも伝えてくれた。僕の方も外野ならどこでもプレーすると話した。監督は僕がチームに加わること、健康を保つこと、僕が勝利に貢献し、期待していることを伝えてくれた。僕はこの機会に感謝し、一生懸命プレーし、勝利を望んでいると話した」
Q:日本語の勉強はしているのか
ヌートバー「ちょっとはトライしたけど日本語は難しいからね。イチ、ニ、サン、シ・・・そんなにたくさんは知らない(笑)。自分のベストはトライしたよ。母が日本の国歌を家で歌うので、僕も口ずさんでいるよ(笑)。僕は日本へ行って日本の文化に敬意を払うようにしたい。自分自身や家族を困らせるようなことはしたくない。できる限りの敬意を払い、悪い印象を残さないようにしたい。初めて米国生まれとして選ばれたわけだから、そんな失敗は避けたいよ」
Q:過去のWBCで印象深かったことは
ヌートバー「記憶が間違えていなければ、日本代表は最初の2度のWBCで優勝した。アメリカは前回大会を勝って球場がクレイジー(な雰囲気)だったのを覚えている。ドジャースタジアムはクレイジーで、マイアミもクレイジーだった。(チームメイトの)ノーラン(アレナド)とゴールディ(ゴールドシュミット)は2017年、アメリカ代表でプレーしたのも覚えている。本当にクレイジーな雰囲気だから、それが楽しみだ。東京ドームは素敵だろう。日本が優勝したことと、ファンの雰囲気が最も印象的だった」
Q:東京ドームでのプレーは楽しみか。
ヌートバー「ビデオやいろいろなものは見た。母は日本で育ち、何度か日本の試合を見にいったようだ。それぞれの応援席があって、ヨーロッパ・サッカーのような感じだ。日本人は野球が大好きだから、日本戦はかなり盛り上がるだろう。3月にワールドシリーズのような雰囲気の中でプレーできるのはとても魅力的。そこでプレーできるのはとてもすごいこと。(MLBの)開幕の日はファンもかなり情熱的になるだろうけど、自分は数週間前にこの雰囲気を感じた、と思えるはずだ」
Q:大谷翔平(28・エンゼルス)のチームメイトになることについて
ヌートバー「興奮しているよ。“世代に1人の才能を持つ選手(generational talent)”という表現ですら足りないくらいの選手。誰もあれほどの才能は見たことがない。翔平のチームメイトになり、彼のプレーを長い期間見られることに興奮している。彼は特別な選手だから、何かを学べることを望んでいるよ」
Q:メジャー組以外で知っている選手は
ヌートバー「村上宗隆のことは聞いているよ。他にも佐々木朗希とか、何人かの選手についても聞いている。彼らはみんないい選手で、多くが未来のメジャーリーガーだ。これからさらに詳しく知っていくけど、代理人と話していても、(日本の選手たちに)エキサイトしている。メジャーリーグのチームからスカウトされているのも知っている。みんな渡米してくる選手たちだから、興奮しているし、興味深いよ」
Q:外野はどこでも守るのか
ヌートバー「ポジションの希望は特にない。栗山監督が望むところならどこでも守る。これまでライトを守ることが多かったけど、センターが多いかもしれないと聞いていて、それも素晴らしい。センターも守るし、監督に言われたらレフトも守る。監督次第だ」
Q:できるのなら宮崎合宿(2月17日~)から合流したいか
ヌートバー「そうしたいけど、メジャーリーグの選手がエキシビションに出る際のルールがどういうものなのかははっきりとわからない。それがはっきりしたら、考えていく。ただ、できればすべてを経験したい」
Q:日本代表を盛り上げるために何ができるのか
ヌートバー「自分らしくいようと思っている。他の選手たちと快適に感じられるようになり、親しくなれたら、チームにスパークを与えるエナジーガイとしてクラブハウスを助けたい。誰かの邪魔をして失礼にはなりたくない。だから様子を見るけど、チームにエナジーを与え、流れを作れるようになりたいと望んでいる」
Q:ペッパーミルパフォーマンスは日本にも持ち込むつもりなのか
ヌートバー「そうするかもね。背景を話して、気に入ってもらえたらやるし、そうじゃなかったらやらない。楽しい部分を持ち込んで、みんながどう反応するか見てみたい。みんなが望んでくれたらぜひやりたいね」
Q:“ペッパーミル”にサインするのは難しくないか
ヌートバー「そうですね。この2、3日はかなりの数をこなしました。少し難しいですが、バットに似たところがあります。カーブしている側面にサインするのは難しいので、横方向に書くようにしている。完璧になるには練習あるのみだと思っている。まだ僕は到達していない。いつか達成したいね」
Q:栗山監督へメッセージ
ヌートバー「栗山監督、あなたのためにいいプレーがしたいです。この機会に興奮していますし、このチームに呼んでくれたことにも感謝しています。あなたと日本代表のために一生懸命にプレーします。楽しみにしていますし、優勝できることを願っています」
Q:日本のファンへメッセージ
ヌートバー「私を歓迎してくれることを願っています。さっきも言った通り、一生懸命にプレーをするつもり。楽しく、いいプレーをして、いい時間を過ごしたいです。監督に伝えたように、優勝し、一緒に祝いたいです。本当に興奮していますし、受け入れてくれたことに感謝しています」
■ラーズ・ヌートバー
1997年9月8日生まれ、25歳。米カリフォルニア州出身、父はアメリカ人、母の久美子さんは日本人。
2021年にメジャーデビュー、2022年は108試合に出場し打率.228、HR14本、打点40、盗塁4。