タイプ①「競争環境」を買う家庭と、「安心環境」を買う家庭

1つ目のタイプは、難関大学を目指して一直線に進む層と、附属校や中高一貫校に入って大学受験そのものを回避する層です。同じ「教育熱心な家庭」に見えますが、中身には2つの顔があります。

難関大一直線の層にとっていちばん大事なのは、実は授業のわかりやすさではなく「競争環境」です。同じレベルの生徒が集まる場所に子どもを置くこと。中高一貫校の生徒だけを対象にした東大受験専門塾の鉄緑会や、中学受験のSAPIX、早稲田アカデミーが「上位の生徒が集まるから合格実績が出る。実績が出るからまた上位の生徒が集まる」という循環をつくっています。

一方、附属校・中高一貫校で大学受験を回避する層が買っているのは「先の見えなさ」を減らすこと、いわば「安心環境」です。首都圏の中学受験者数は2026年で推定5万2050人。受験率はおよそ18%と、少子化にもかかわらず過去40年で見てもトップクラスの高い水準が続いています。文部科学省の調査では、幼稚園から高校まですべて公立の場合の学習費は15年間でおよそ614万円、すべて私立ならおよそ1969万円と3.2倍の差があります。それでも払える家庭が、早い段階で環境を確定させにいくのです。

タイプ②「自分は何者か」を言葉にする力を伸ばす

2つ目のタイプが、冒頭の数字にも出てきた、総合型・推薦型の入試を使う層です。この層にとって大事なのは、偏差値よりも「自分は何者で、なぜこの大学で学びたいのか」を言葉にする力。志望理由書、小論文、面接、そして高校時代の活動実績です。

ここに最適化された塾もすでに存在しています。早稲田塾や、総合型選抜の専門塾AOIなどが代表格で、こうした塾がやっているのは、もはや授業というよりコーチングに近いものです。生徒の経験を掘り起こして大学に伝わる物語に整理する編集者のような役割、活動や出願準備をスケジュール化するコーチのような役割、大学ごとの相性を見極める戦略家のような役割です。